「マーケティングが浸透していない業界で、どう成果を出すか」物流施設を開発・運営する日本GLPのマーケ担当が語る挑戦
黒木氏はマーケティングに詳しくないクライアントが納得できるよう、わかりやすい説明を心がけたり、現場の人を巻き込んで事例コンテンツを作ったりするなど、理解されやすい施策を行うようにした。「マーケティングはおもしろいらしい」「営業に潜在顧客のニーズをつなげるらしい」と思ってもらえるよう足元固めを行ったのだ。
転職する気はなかったのに…1週間で転職を決意
■ [ルール2] 失敗してもなんとかなる、だからチャレンジする 黒木氏が2社目に転職して7年ほど経った頃、次のキャリアを考えるようになる。 ┌────────── マーケティング支援の立場では、どんなに頑張っても外の人でしかないと思ったんです。今考えればもっと踏み込むこともできたし、若気の至りの部分もありますが。提案した施策に対して、クライアントから『社内の稟議を通せない』と言われたら、通すための提案をしてしまっていた。自分が事業会社のマーケターを経験しないと、一歩踏み込むことはできないと思いました(黒木氏) └────────── 黒木氏が転職活動をはじめたときに出合ったのが3社目の企業になるインテージだ。当時は非常に多くの引き合いがある状態でマーケティング部門は存在しなかったが、黒木氏は面接の場でマーケティング部門の新設を提言したのだという。 ┌────────── 業績がよいうちにマーケティング部署を作る必要があると考えました。業績が悪くなってからマーケティング組織を作るのでは遅いし、余力もなくなると考えたからです(黒木氏) └────────── 入社後すぐにマーケティング組織を作ることは叶わなかったが、2年目からマーケティング部署の準備をはじめ、3年目で部署を立ち上げることができた。ほどなくして企業からの引き合いが落ち着き、適切なタイミングでマーケティング組織のスタートを切ることができたのだ。さらに数年が経ち業務が落ち着いてきた頃、黒木氏は副業をはじめようと考える。 ┌────────── マーケティング組織が安定してきたので「何か次のことをしたい」と思うようになりました。不安定で混沌とした状況からカタチにしていく過程が好きなんです(黒木氏) └────────── そんな時に、知人から「日本GLPというおもしろい会社があるんだけどどう?」という誘いを受ける。まったく転職するつもりはなく話だけ聞いたところ、黒木氏は日本GLPに強い関心をもった。 ┌────────── まず、ビジネススキームがおもしろい。自社でファンドを立ち上げ、投資家から資金を集めて物流不動産を建設し、賃貸収入を得て収益を投資家に分配するというモデルです。日本だけでなく、世界中の個人や機関投資家から注目されていて、企業としてすごいスピードで成長している。全盛期を迎えようとしている企業の空気を感じ、身を置いてみたいと思いました(黒木氏) └────────── 当時、日本GLPにはマーケティングのポジションはなかった。物流施設の開発リリースと、高い営業力でテナントが埋まるような状況だったからだ。そのため、まずは同社が提供している物流企業向けの新規ビジネスであるSaaSのマーケティングポジションで入社することになった。 黒木氏が転職を決めるまでにかけた時間はわずか1週間。即断即決するタイプなのだろうか。