Bプレミアへ「奇跡の参入」 滋賀レイクス、降格も集客増の離れ業 応援企業巻き込み奏功
バスケットボールBリーグ1部の滋賀レイクスは、令和8(2026)年秋に発足する新トップカテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」に参入する。「平均来場者数3千人以上」など参入には高いハードルが設定されたが、昨シーズンにB2に降格したレイクスは、逆に集客を増やす離れ業で基準をクリアしてみせた。パートナー企業の応援を受け、ともに成長する戦略がクラブの事業力を押し上げている。 【イメージ図】滋賀ダイハツアリーナに増設されるスイートルーム ■創設以来初 レイクスは2022-23シーズン(B1)に、主力選手の離脱やヘッドコーチ(指揮官)の交代などでチーム運営が混迷。14勝46敗でB1西地区8チーム中最下位、リーグ全体の勝率は24チーム中23位に低迷し、クラブ創設以来初となる2部降格の苦杯をなめた。 シーズン終了後、レイクスは新たな社長兼GMに元プロバスケットボール選手の原毅人(たかと)さんを招聘(しょうへい)した。昨年7月、原社長は1年でのB1昇格を「絶対目標」とし、「GET BACK(復帰)」をスローガンに掲げ、「レイクスの歴史で最もエキサイティングで劇的でメモリアルなシーズンにする」と誓った。 このとき、原社長はこんな目標も掲げていた。 「平均来場者数を昨シーズンの2693人から3千人以上に増やし、B2史上初の『降格後も来場者数増加』を成し遂げたい」 Bプレミア参入には来場者数や売上高といった条件が重視されることが見込まれていたからだ。 ■全社一丸で 原社長の宣言通り、レイクスは2023-24シーズンでB2優勝を果たし、平均来場者数は過去最多の3560人を記録。B2に降格して集客を増やしたクラブは過去にないという。 さらに売上高も12億8千万円に達し、Bプレミアの参入条件となる「3千人以上」「12億円以上」をともにクリア。10月に発表された参入クラブ1次発表の22クラブの中に名を連ねた。 「平均3千人以上を目標に設定したものの、根拠も自信もない、気持ちで掲げた全社目標だった」と原社長は明かす。 部署横断で立ち上げた「集客プロジェクトチーム」がうまく機能したことが成功につながった。とりわけ、スポンサー企業に対するマーケティングでは広告の対価をもらうだけでなく、企業の社員に観戦を呼びかけたことが奏功。レイクスのパートナー部カスタマーサクセスグループの太田保矩さんは「あまり話したことがない社員が一緒に応援することで、社内の横のつながりができたという話をよく聞く」と話す。