<アグレッシブ・’21センバツ東海大甲府>第2部 支える/4 吹奏楽部・チアダンス部 可能性がある限り /山梨
◇前を向いて練習を 東海大甲府吹奏楽部の顧問、小俣広弥教諭(45)は20日、集まった部員を前に「甲子園で演奏できなくなった」と告げた。日本高野連はこの2日前、新型コロナウイルス感染防止のため、センバツが開催される甲子園でのブラスバンド演奏を禁止すると発表していた。パーカッションを担当する雨宮碧伊(あおい)さん(2年)は「(甲子園に)行くつもりで準備していたので本当にショックだった」と話した。 東海大甲府の吹奏楽部は甲子園での演奏に憧れて入部した部員も多い。トランペットを担当する斉藤莉果さん(1年)も球場で演奏する吹奏楽部の姿をテレビで見たのがきっかけで同校を志望。しかし、昨春に入学後、新型コロナの感染拡大が続き、スポーツ大会やイベントは相次いで中止になった。「モチベーションが上がらず、部活に行くのもつらい時期があった」と振り返る。 先が見えない中で練習を続けてきたが、1月にセンバツ出場が決まると、部員は新たな目標に活気づいた。部長の小田切彩香さん(2年)は「甲子園で演奏してみたかったので本当に楽しみだった」。それだけに今回の演奏禁止にショックを隠しきれないが、それでも雨宮さんは「演奏できる機会があるのならどんな場所からでも選手たちに思いが届くような演奏をしたい」と前を向いた。 一方、吹奏楽部の演奏に合わせて踊るチアダンス部も事情は同じだ。同部は2020年4月に正式発足したばかりで部員は10人。センバツ出場校の発表はオンライン中継で見守ったといい、飯沼紗希さん(1年)は「日ごろから頑張っている野球部の姿は見ていたのでみんなで出場を喜んだ」という。 部長の臼井柚葉さん(2年)は「もし応援できるなら、ピンチの時に選手たちの背中を押せるようなエールを送りたい」と意気込む。顧問の小山ひかり教諭(26)は「どんな形であれ、応援できる可能性がある限りは練習は続けたい」と話した。【金子昇太】=つづく