ラグビー日本3連敗、続く試練のテストマッチ 強国に学ぶべきは選手然り、日本ラグビー全体でもある
「リポビタンDツアー2024」第1戦はフランス代表に12-52で完敗
ヨーロッパのラグビー強豪国らに挑む「リポビタンDツアー2024」第1戦で、フランス代表に12-52と敗れた日本代表。後半はトライ数2対3と対抗したが、5連続トライを奪われるなど前半40分で勝負を決められ、テストマッチは3連敗となった。2週間前のオールブラックス戦大敗からの「学び」も十分には生かせない苦闘の中で、試合後の選手たちの言葉からチームの置かれている現実が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏) ◇ ◇ ◇ 昨秋のワールドカップ決勝の舞台となったパリ近郊の巨大スタジアム「スタッド・ド・フランス」。377日前には南アフリカ代表が世界一の凱歌を揚げたフランスラグビーの殿堂で、日本は完敗を味わわされた。 「前半は完璧にフィジカル面でやられてしまった。相手に対峙出来なかったし、サポートの素早さも足りなかったこと、ボールを奪い取られるターンオーバーも多かった。まだ若い日本代表にとっては、もちろんフィジカリティーは長期的な目標だとは認識しているが、選手のエフォート(努力)は認めたい」 試合後の会見でエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の口癖のようになった「エフォート」が示すように“敢闘賞”しか与えられない苦境が続く。指揮官の指摘通り、フィジカルの戦いで重圧を受け、サポート力も不十分ならこのようなスコアになるというゲームだったが、現状でのパフォーマンスをみると、チームを世界基準に進化させるためには年単位の時間を要することになりそうだ。 勝者との格差をみれば「ゲームを読む力」の違いが明らかだった。これは前回のニュージーランド戦後のコラムでも指摘した部分だが、わずか2週間ばかりでは効果的な修正、進化は見せられなかった。フランスが圧倒的な実力を見せつけたゲームの中で、選手の判断力、戦況を読み、どんなプレーを選択していたかをみると、この80分間の戦いの真相が浮かび上がる。試合後にWTB長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)は、苦闘の要因をこう振り返った。 「個人的なところですが、(フランスが)バックフィールドへキックでプレッシャーを掛けてくる中で、フィールディングだったり、僕の最初のキック(処理)をバウンドさせた部分、そこから結局カウンター(攻撃)でトライをされている。キックでプレッシャーを掛けられたところで先手を取れなかった」 長田が例に挙げたのは、開始直後のキックの応酬の場面だ。日本のキックオフボールを蹴り返そうとしたフランスの至宝、SHアントワーヌ・デュポン(スタッド・トゥールーザン)のキックをLOワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)がチャージして敵陣ゴール前に攻め込んだが、その後のデュポンの再度のキックを、長田は2バウンドさせてから捕球している。「たかがワンバウンド」という見方も出来るが、戦術的なキックを多用する現代ラグビーでは、キック処理、つまり相手のキックから自分たちの攻撃に転じるまでの数秒がゲームの流れ、主導権争いに大きく影響するのは常識だ。 このシーンでも、長田がノーバウンドで処理できなかった2秒ほどの時間でフランス防御による重圧を受け、効果的な蹴り返しが出来なかったところからのカウンター攻撃から前半4分の先制トライに繋げられている。このようなキック処理の甘さは、このトライに直結する相手WTBのグラバーキックをFBマロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ)が捕球出来ず、相手選手にグラウンディングされたシーンでも露呈している。これは個人のディフェンスミスではなく、組織として相手キックにどう備えるかの準備不足、相互理解不足による失点と考えるべきだろう。