ラグビー日本3連敗、続く試練のテストマッチ 強国に学ぶべきは選手然り、日本ラグビー全体でもある
選手層に厚みを持たせる作業を協会挙げて推進、本気で検討する段階に
では、チームは経験値が高いメンバーを新たに加えるべきなのか。このテーマの回答はエディー自身の判断に委ねられている。就任当時から世代交代の重要性を唱え、実際のメンバー選考でも、我々の想定していた以上に若手重視を貫いてきた。ここはエディー個人だけではなく、日本ラグビー協会首脳が就任に当たり求めたものでもある。ターゲットである2027年の次回ワールドカップまでの今年も含めた4年間という時間を投資優先に充てるのか、今すぐに結果を求めるのかで、何が適切な選択なのかは変わるだろう。今が忍耐の時間だと割り切れば、9月のフィジー戦から40点以上の失点による3連敗もやむを得ない。 だが、これも以前のコラムでも触れてきたことだが、敗戦からだけではなく、経験値の高い選手と共に試合を経験して、日常を共有することも、若手には貴重な学びになるのは間違いない。同時に、こちらも以前から指摘してきたものだが、世界が取り組み始めている若手育成、言い換えればセカンドチーム(代表2軍に相当するチーム)を編成して選手の経験値を上げていくことによる代表チームの選手層に厚みを持たせる作業を、チーム依存ではなくラグビー協会を挙げて推進することを、本気で検討する段階が訪れているように思う。 学ぶべきは、桜の戦士たちも然りだが、日本ラグビー全体でもある。そう感じさせるような試練のテストマッチが続く。 吉田 宏 サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。
吉田 宏 / Hiroshi Yoshida