【解説】マックのリリースはヒントになるか? カスハラモードに陥らない気持ちの切り替え
■「お客様は神様です」? 従業員がカスハラを受けても対応しない企業=57.3%
ただ、「カスタマーハラスメン対策」の策定は簡単ではない。 例えば会計ソフトの開発・販売を行う企業「freee」がカスハラ方針策定のプロセスを公開しているが、一番気を遣ったこととして、「お客様に本質的な価値を提供したいという基準で策定する」、「安易に『お客さんが怒っている』『社員が傷ついた』イコール『カスハラ』にはならない時もあることを社内で理解してもらう」という点をあげている。 「『カスハラ』と『本当に困ってクレーム化しているお客様』をしっかり切り分けて適切な対応をすることができるのか」が懸念だったと言うが、最終的には、カスハラについて細かく具体的に定義づけすることで、“なんでもかんでもカスハラとされる状況は発生していない”としている。 長く日本で社会通念のようなものだった「お客様は神様です」は「当たり前ではない」という認識は広まってきているようだが、だからといって、これが180度逆に振り切れて、「客のクレームに取り合う必要はない」というものでももちろんない。 「クレームは宝」だとよく言われるように、厚労省のマニュアルにも「本来、顧客からのクレームは、それ自体が問題とは言えず、業務改善や新商品・新サービスにつながるものでもある」と記載されている。 一方で、悪質なクレームからは従業員を守る対応を求めている。 企業は従業員を守らなければならない。倫理・モラルの面からだけでなく、人手不足の日本では、人材獲得競争において、カスハラへの取り組みは必須であろう。気づいている企業は急いでいる。 しかし、一方で、厚労省の委託調査で企業に対し「カスハラがあった場合に実施した取り組みは何か」聞いたところ、「特にない」(57.3%)の割合が最も高かった。まだまだ現場任せで、会社側が従業員を労り守ろうという意識に至っていないようだ。 そこでふと思い出したのが米国マクドナルドのリリースだ。