あなたはなぜアドバイスしたくなるのか【原文】How to Unhook from Your Need to Give Advice
判断の習慣を変える
人に「こうすべきだ」と言いたい衝動を抑えるには、言いたくなった瞬間の自分を意識し、その衝動を手放す勇気を持つ必要がある。自分の意見を言う前に、相手の意見を聞きたいと思う友人、リーダー、親、コーチになるために、専門家であることや人助けをすることを手放すのだ。 助けたいという衝動を抑えるのは簡単なことではない。そのためには、今この瞬間に集中し、相手がどう考えているかにもっと興味を持ちながら、自分の言葉を発する前に注意深く見極めることが必要である。 小説家のピコ・アイヤーは、ダライ・ラマと一緒に旅をした際に、ダライ・ラマが人々の質問に 「わからない」と答えることが、人々に安心と自信を与える唯一のことようだと語っている。またアイヤーは、「知識の反対は常に無知ではない。それは驚きかもしれない」とも言っている。 『畏敬と驚きの神経現象学(The Neurophenomenology of Awe and Wonder)』[1]では、研究者たちは宇宙飛行士が宇宙で経験する畏敬と驚きを定義するための科学的な研究を行った。著者たちは驚きを二つの感覚が融合したものと定義している。「最初の感覚は畏敬の感覚に密接に関連しており、2つ目の感覚は好奇心の感覚に関連しています。」つまり私たちは、何か素晴らしいものを見たときにまず驚き、そして即座にそれが何であるのか決めつけるのではなく、何が起きているのかをじっくり考えるのである。 あなたは驚きの感覚によって、自分が専門家や助言者であることから解放することができる。目の前にいる人は、希望や恐れに満ちた素晴らしい人物であり、自分自身の知識を使って物事を理解しようとしていることを忘れないで欲しい。あなたが会話を始めるとき、相手の独自の視点を発見したり、相手が状況を説明する際にそれが相手にとって何を意味するのかを発見するという好奇心を持つことはできるだろうか?そして、会話の終盤には、相手が一度は考えたけれども捨ててしまったことについて尋ねてから、提案をしてもよいかどうかを聞いてみて欲しい。あなたの意識、好奇心、そして他者が潜在能力を持っているという信念を持つことで。会話を深め、関係性をより強化することができるだろう。