地産地消で豊かな食文化を 奄美市公設市場視察研修 かごしまの〝食〟推進協
食育や地産地消を推進する「大島地域かごしまの〝食〟交流推進協議会」主催の研修会が15日、鹿児島県奄美市名瀬の市公設地方卸売市場であった。島内の農業従事者や生活研究グループ、行政関係者など計72人が参加。奄美群島の農産物の流通状況や地産地消を促進する取り組みなどに理解を深め、地元食材の消費拡大に向け意見を交わした。 研修会は、地産地消を基本とした健康で豊かな食生活の実現を推進することを目的に毎年開催。今回は同市場の視察、食を通じた地域おこしに取り組む一般社団法人「E’more(いもーれ)秋名」代表理事の村上裕希氏による講演、意見交換があった。 前半は同市場を運営する名瀬中央青果の職員が流通の概況を説明。農業従事者の高齢化や消費者人口の減少、本土からの生鮮食品搬入の拡大が進む現状を踏まえ、今後の対策として地元の小規模生産者に対する出荷促進や、集荷車が巡回していない地区での集荷体制の整備、価格や出荷方法に関する情報周知などを挙げた。 「~食は地域を語る~暮らしぶりを伝え・繋(つな)げる食の力」と題した講演では、村上氏が龍郷町秋名・幾里地区の住民らと2018年に設立した同法人の活動内容を紹介。地産地消は文化の継承につながるとし、生産者や入手経路など食材にまつわる奄美ならではの〝物語〟を消費者に伝えることの大切さを強調した。 最後は「地元食材の流通と消費の拡大」をテーマに参加者らが意見交換。「(観光客に対して)食べ慣れてないものを出しすぎないよう、普通の家庭料理にときどき島の食材を入れている」「島の中では消費量が限られるため鹿児島や沖縄に出荷するという最近の傾向があるが、(島内の)買いたい人からすると手に入らない。バランスが難しい」などの声が上がった。