パラアスリート、身体に「五輪」のタトゥーを入れる権利が認められる
国際パラリンピック委員会(IPC)は、2012年の五輪タトゥー禁止令を撤廃し、選手たちのタトゥーが競技中に見えても構わない方針に変更した。 【写真】パリオリンピック2024で最も注目されたアスリートたちのタトゥー これまでは競技中に五輪タトゥーが露わになると罰則を受け、失格となっていた。だが8月23日付け「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、パリのパラリンピックでは五輪タトゥーが見えても大丈夫になったそうだ。2012年に五輪マークを体に表示させることが禁じられ、選手たちは競技中、マークを隠さなくてはならなかった。理由は、競技者の身体に広告を掲載する「身体広告」を禁止するルールに抵触するから、ということで、五輪マークは国際オリンピック委員会(IOC)の宣伝になるとみなされていたのだ。
異なるマーク
あまり知られていないかもしれないが、IPCとIOCはそれぞれ異なる規約を持つ独立組織であり、ロゴも異なる。したがってパラリンピックはオリンピックの五輪マークとなんら正式な関係はなく、パラリンピック独自のマークを持つ。それは赤と青、緑の3色で構成され、ラテン語で「私は動く」を意味する「Agitos(アギトス)」に由来する「スリーアギトス」の名で呼ばれている。 「オリンピックの五輪を表示すると一般の人々を混乱させ、オリンピックブランドとは異なるパラリンピックブランドの理解に影響を与える」とIPC広報担当者は2016年にNBCスポーツに説明していた。しかし、パリ2004パラリンピック競技大会開幕の数日前にIPCは方針を変更した。IPCブランド・コミュニケーション・ディレクターのクレイグ・スペンスは、「ニューヨーク・タイムズ」紙に宛てた電子メールの中で、「このようなタトゥーを入れている選手は隠さなくていい」と伝えた。同紙によれば、今回の決定についての説明は何もなかったそうだ。
落ちないマーカーで消す
一般的に言って、IPCもIOCも身体広告は禁止している。ただし、スイムキャップや水着に表示されるブランドロゴなどは別だ。だが多くのパラアスリートにとって、五輪タトゥーを肌に刻むことはもちろん宣伝目的では全くない。 それはオリンピック出場選手同様、努力の証なのだ。「アスリートとしてのこれまでの歩みや経験の象徴としてロゴを体に刻むことは、我々の多くにとって大切なことです」とルディ・ガルシアトルソンはニューヨーク・タイムズ紙の取材に答えている。ルディはアメリカの競泳選手で、パラリンピックで5度のメダルを獲得している。2012年にIPCが五輪タトゥー禁止令を出して以降、ルディは背中上部に入れていた五輪タトゥーを隠すために常に落ちないマーカーで塗りつぶしていた。「ずっとこれで大丈夫だったんですがね」と言うものの、2021年の東京パラリンピックを目前にした大会で、競技中にマーカーのインクが取れてしまったという理由で失格になってしまった(だが最終的に提訴して勝ち、東京のパラリンピックに出場している)。 現在、長期休養中のルディ・ガルシアトルソンはロサンゼルス2028パラリンピックを目指そうとしている。その際にはもうマーカーは不要だ。
text: Victoria Hidoussi (madame.lefigaro.fr)