【福島記念回顧】7歳アラタがタフな消耗戦を制し“三度目の正直” 展開読んだ大野拓弥騎手のアシストも光る
一瞬の動きに強いフェアエールング
2着フェアエールングも後方から追い込んだ。といっても、こちらは内枠から終始、内を進み、馬群を縫って最後に抜け出した。前走STV賞でも馬群をさばいて抜けており、直線が短く、一瞬の動きが勝敗を決する混戦で強い。ペースが速く、得意の先行策がとれないにもかかわらず、伸びてきたのは適性の賜物。小回り2000mは合う。父ゴールドシップは平坦巧者であり、今後も平坦ローカルの1800、2000m重賞で狙いたい。 3着ダンディズムも後方から進んだが、こちらは3コーナーから先に動き、厳しい流れに身を置いた分、最後に伸び負けた。といっても、小回り特有の時計を要する流れを先に動いて粘り込むのはダンディズムのパターン。仕掛けが早かったのはしかたない。むしろ自分の形を貫いた。レースが全体的に流れる小回りと好走パターンははっきりしている分、付き合いやすい。 1番人気ドクタードリトルは7着。こちらは小回りより直線が長いコース中心に使われており、適性の差が出た。位置取りは悪くなかったが、コーナーで置かれ、リズムを乱した。舞台替わりで見直そう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳