世界的ショコラティエに密着! ジャン=ポール・エヴァンさんが「星のや京都」で過ごす休日
◆聞香
続いて体験したのが、聞香。聞香とは、華道・茶道と並ぶ日本の伝統文化である香道で、香木の香りを聞く形式のことです。 講師は、山田松香木店の指導を受けたスタッフが務めます。この日は山田松香木店の三浦範子さんが直接レクチャーを行いました。香木がインドネシアやヴェトナムで採れ、樹木内部に蓄積した樹脂が何百年もかけて土の中などから見つかったものであるとの先生からの説明に、「すごく貴重なものなのでしょうね」と、エヴァンさんも興味深々。 香炉の制作が始まると、職人らしく、「この道具の繊細さには、目を奪われますね! すごいなあ!」と目を輝かせました。そして、先生の手元を真剣に見つめながら、香炉の灰をきれいな山型に整え、頂点から細い穴を開けて完成。あまりの緻密さと真剣さに、「まるでお菓子をつくっておられるようですね。灰はすぐに崩れてしまうのですが、さすがです」と、先生からも感嘆の声が。 今回、香りを聞くのは、沈水香のなかでも最高級の伽羅香木。これを香炉にのせ、右手で香炉を持って左手で支え、正面をはずして右手で香炉を覆い、鼻を近づけるのが聞き方のお作法です。 「すごくいい香りですね! この香りの記憶はなかなかないけれど。ちょっとスパイシーで、ヴェトナムのカカオを感じさせるものがあります」と、エヴァンさん。すると、「この香木の産地は、カカオが採れるのと同じ地域なんです」と、先生。 「聞香では、香りを甘、酸、辛、鹹、苦というように味で表現するのですが、この香りはエヴァンさんがおっしゃるように、甘さも辛さも入っていると思います。時間が経つと、香りは変わってきます」と、言葉を続けます。それを聞いて、「確かに、初めはスパイシーさや甘さ、少しの酸味を感じたけれど、少し苦みや塩辛さも出てきた気がします。すごい驚きだなあ!」と、エヴァンさん。香りの奥深さを知る貴重な機会になったようです。 聞香 料金 3,388円/1名