2024年度の「賃上げ」率 最多は「5%以上6%未満」 実施率は84.2%、中小企業は「賃上げ疲れ」も
Q2. Q1で「賃上げを実施した」と回答した方にお聞きします。実施した内容は何ですか。(複数回答)
◇「ベースアップ」実施企業が初の6割超 Q1で「実施した」と回答した企業に賃上げ項目を聞いた。5,628社から回答を得た。 最多は、「定期昇給」の74.2%(4,181社)。次いで、「ベースアップ」が61.4%(3,459社)、「賞与(一時金)の増額」が38.5%(2,171社)、「新卒者の初任給の増額」が25.0%(1,411社)、「再雇用者の賃金の増額」が12.5%(705社)の順。 「定期昇給」の実施率は前年度の75.3%を1.1ポイント下回り、4年連続で下落した。一方「ベースアップ」は前年度の56.4%を5.0ポイント上回り、3年連続の上昇で過去最大を更新した。 規模別では、「新卒者の初任給の増額」が大企業の45.6%(710社中、324社)に対し、中小企業は22.1%(4,918社中、1,087社)にとどまり、23.5ポイントと最大の差がついた。 初任給の上昇やベースアップは長期にわたる人件費の上昇につながるため、大企業に比べて体力に乏しい中小企業には実施のハードルが高い。しかし、新卒採用や人材定着に与える影響が大きく、人手不足が深刻化するなかでは、大企業だけでなく中小企業も安定した賃上げを実施できるような支援策や環境整備が重要になっている。
Q3.賃上げ率(%)はどの程度ですか?年収換算ベース(100までの数値)でご回答ください。
◇最多レンジは「5%以上6%未満」 Q1で「実施した」と回答した企業のうち、3,444社から回答を得た。 1%刻みのレンジでは、最多は「5%以上6%未満」の26.8%(924社)だった。次いで、「3%以上4%未満」の25.6%(884社)、「2%以上3%未満」の13.1%(452社)の順。 賃上げ率「5%以上」は42.6%(1,469社)だった。前年度の36.3%を6.3ポイントと大幅に上回り、物価高などを背景に賃上げが進んでいる。 規模別では、賃上げ率「5%以上」は大企業で44.4%(362社中、161社)なのに対し、中小企業は42.4%(3,082社中、1,308社)で、大企業が2.0ポイント上回った。 賃上げ率の中央値は、すべての規模で4%だった。 産業別では、賃上げ率「5%以上」の割合が最も高かったのは、農・林・漁・鉱業の54.2%(35社中、19社)だった。以下、不動産業が50.6%(73社中、37社)、建設業が49.5%(468社中、232社)、情報通信業が45.4%(187社中、85社)、卸売業が44.8%(691社中、310社)と続く。製造業は賃上げ実施率が最大だった一方で、賃上げ率「5%以上」は最も低い36.7%(907社中、333社)にとどまった。