スリクソンのカッコいい新アイアンはどれを買うべき!? 「ZXi5」「ZXi4」「ZXi7」の3機種打ち比べで分かったこと
3モデルで最もヘッドに厚みがあるのは分かっていても、アドレスすると不思議と気にならないヘッドシルエットは「ZXi4」の真骨頂でした。「こんなに簡単に7番アイアンで高く飛ばせていいの?」と心配になるほど、オートマチックかつ直進性に優れたモデルでした。 しかも前作ではできなかったライ角(±3度)とロフト角(±1度)の調整が可能になり、クラブセッティングの自由度が増しました。 今回はオリジナルの「Diamana ZXi」カーボンシャフトも打ちましたが、ドライバー時のヘッドスピードが37メートル/秒ぐらいのゴルファーでも飛距離が出せて高弾道ショットが可能でした。上達志向のシニアや女性ゴルファーにオススメしたくなるアイアンです。 ヘッドスピードが速いゴルファーなら、4番や5番アイアンを単品で投入してもいいかもしれません。ヘッドの機能性が高いので、ロングアイアンとして使い勝手がいいと思います。
ヘッド素材S15Cの打感が秀逸な「ZXi7」
最後は、伝統的かつシンプルな軟鉄鍛造キャビティ「ZXi7」アイアン。ロフト32度(#7)の、いわゆるツアーアイアンなので、飛距離性能や弾道の高さ、ミスヒットの寛容性などを語るモデルでは本来ありません。 前作同様に非常にコンパクトで、いかにも「うまい人」しか使えなさそうなモデルです。
ところが、いざ打ってみると意外にもナイスショットが打て、打球音やソールの抜けも非常に気持ちのいいアイアンでした。何よりもヘッド素材にS15Cを採用したことによる、圧倒的な打感の軟らかさは秀逸。 この素材は軟らかすぎて、打撃による角度変化が懸念されることから、精度の高いアイアンヘッドを製造することが難しいといわれてきました。その問題を「コンデンス鍛造」によってクリアし、メリットだけを引き出すに成功したのが「ZXi7」。 バックフェース裏の「ピュアフレーム」構造も相まって、ウレタンカバーのツアーボール使用者なら、誰でも1球で極上の軟鉄鍛造キャビティとしての完成度を実感できるはずです。 スコアメイクするなら「ZXi4」や「ZXi5」の方が結果も伴い、絶対にやさしいでしょう。ですが、コンパクトなヘッドが好きでミスヒットに対するシビアなフィードバックを求めるアスリートゴルファーなら、「ZXi7」は打てば打つほど自分の腕のようになって、クセになるアイアンです。 今回の「ZXi」アイアンシリーズは、まずトータルの完成度が非常に高い「ZXi5」から試打をしてみてください。そのうえで、もっと飛距離と寛容性を求めるなら「ZXi4」へ、もっとシビアなフィードバックと操作性を求めるなら「ZXi7」へ試打を移行すると、自分の求める性能のモデルが見つかりやすくなると思います。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。
猿場トール