コロナ禍で「バーチャル」を強いられたZ世代社員の育て方
Z世代は、デジタルを使いこなし、適応力があり、有意義な貢献に意欲があるという、明らかな強みを携えて労働市場に参入する。しかし、コロナ禍がZ世代の成長期に永続的な影響を残した。彼らの教育や初期のキャリア開発に生じた混乱は無視できない。 コロナの時代に育ったことは、彼らが学生生活をしばしばバーチャル教室で過ごしていたことを意味する。つまり、コミュニケーションや共同作業といったソフトスキルを身につけるのに役立つ、従来の対面での交流から切り離されていたということだ。しかしそこに、雇用主が手を差し伸べるチャンスがある。Z世代の強みを生かしつつ、こうした空白を埋めるサポートを提供するべきだ。 AP通信と全国世論調査センター(NORC)の調査において、Z世代の46%が、「パンデミックによって、教育やキャリアの目標達成が難しくなった」と感じていることが明らかになった。この割合は、ミレニアル世代(36%)やX世代(31%)を大きく上回る。適切なサポートがあれば、Z世代は、個人として優れた能力を発揮するだけでなく、新たな視点や価値観をもたらすことで、職場文化の向上にも貢献できる。 以下に、雇用側が、Z世代の従業員が能力を最大限に発揮できるように支援し、同時に、より生産的で意欲的な職場環境を構築するための主な戦略を紹介する。 ■彼らの強みに焦点を当てた新人研修 Z世代の新入社員が成功できるよう、リーダーは時間を割いて、各自の強みと、成長の余地がある分野を、入社時から特定していく必要がある。その方法は、評価と、率直な対話、定期的なフィードバックループを組み合わせて実施することだ。 研修中に、これまでに楽しかったプロジェクトは何か、最も自信があるのはどの分野か、伸ばしたいスキルは何か、といった具体的な質問を投げかけよう。それにより、個別のニーズに合った、意味のある指導を提供することができる。 例えば、データ処理には強いが、会議でのプレゼンテーションには自信がない、というZ世代の新入社員がいるとしよう。そこで画一的な研修プログラムを受けさせるのではなく、すぐにデータを扱うプロジェクトに参加させ、同時にプレゼンのスキルを磨く追加のサポートを提供すれば、大きな違いを生み出すことができる。 彼らの強みを生かしつつ、成長に必要なツールを提供するこうした戦略で、入社初日から、自分は戦力として期待されていると感じてもらうことができる。彼らのニーズを早期に特定することで、学習と成長を重視した研修体験を作り出すことができる。 ■メンターシッププログラム メンターシップは、新人研修の枠を超えて、より長期的で、人間関係に根差した方法で、Z世代の能力向上を支援する。研修が、与えられた役割に新入社員をなじませることに重点を置くのに対し、メンターシップは、職場の力学に対処するための、より深く、継続的な指導を提供する。 Z世代の従業員に、経験豊富な同僚を組み合わせることで、ステークホルダーとの関係管理、社内政治の理解、あるいは、機能横断的なプロジェクトへの取り組みといった、重要なスキルの習得を支援できる。 チームの経験豊富なメンバーがZ世代の新入社員のメンターとなって、コラボレーションの進め方について実践的なアドバイスを提供し、部署をまたいだ複雑なプロジェクトを管理する手助けをすると想像してみてほしい。こうした一対一のやりとりは、自信を育み、学生時代には十分に経験できなかった分野への適応を助ける。 しかも、これは一方的な関係ではない。メンターの方も、若い後輩から新たな洞察を得ることが多い。例えば、問題解決における新たなデジタル的なアプローチや、異なる視点について学ぶことができる。相互に利益をもたらすメンターシップは、個人とチームの両方を強化し、継続的な改善の文化を生み出す。