2024年度「全国学力・学習状況調査」の分析結果、算数は立体図形に関する知識の活用・数学はデータ解釈に課題
調査結果をもとに、授業改善を目指す
調査結果は2024年7月下旬に報告書として公開され、各教科の課題や指導改善のポイントが詳細に記載されている。例えば、国語では「自分の意見を述べる際に事実と考えを分けて書く」指導が必要とされ、算数では「速さや割合の意味を日常生活に関連付けて理解させる」ことが重要とされている。 「調査結果をもとにした報告書には、調査問題を活用した授業アイデア例も掲載しています。現場の教員が取り組めるよう工夫しています」 2024年8月下旬には、全国学調の結果を踏まえ、各教育委員会の指導主事や現場の教員向けに全国説明会を開催。この説明会では、教科ごとの出題趣旨や調査結果のポイントを示しながら、授業改善に役立つ具体的なアイデアを提案している。また、指導主事や教員からの質問を受け付け、相互のコミュニケーションを図る場にもなっているという。 「説明会後に実施したアンケートでは、『単元で養う資質能力や、日常の具体的な場面を取り上げた説明があったことで、生徒に必要性を感じさせる指導の重要性を再認識しました。これを現場で実践していきたい』といった前向きな意見や、『調査を通じて見極めたい資質能力や、どのような誤答が多かったのか具体的な説明が非常に参考になった』との声もありました」 さらに、一部の地域では県独自の調査を行っており、「県独自の調査結果とも関連付けて分析を進めたい」といった意見もあったという。 全国学調は、日本の教育現場における羅針盤ともいえる。その結果をどのように活用し、課題を克服していくかが、今後の教育政策の成否を左右する。教育現場と政策立案者が連携し、子どもたちの未来を支える教育を形にしていくことが期待されている。 (文:末吉陽子、注記のない写真:pu- / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部