泡盛じょーぐーら喜び 「待ちかんてぃーした」ユネスコ無形遺産登録 戦禍越え県民誇り 沖縄
琉球王国時代から受け継がれてきた沖縄の地酒「泡盛」の製法が5日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。79年前の戦禍で消滅の危機に陥った泡盛は酒造メーカーや研究者らの血のにじむような努力の末に復活を遂げた。泡盛業界関係者や「泡盛じょーぐー(愛好家)」らは遺産登録に喜びの声を上げ、泡盛のさらなる発信に意欲を示す。 【写真】ここで一句 泡盛川柳の最優秀作品
泡盛好きが集まって結成した琉球泡盛倶楽部の代表を務める、長嶺哲成さん(62)=那覇市=が経営する「カラカラとちぶぐゎ~」には5日夜、県内外の泡盛好きが集まり、遺産登録を喜んだ。 同店は2004年に開業した。県内酒造所の代表銘柄を全て取りそろえ古酒はちぶぐゎー(小さいおちょこ)での提供もメニューに盛り込むなど、こだわりが見える。 店主の長嶺さんが泡盛の道を進むきっかけとなったのは、雑誌の編集長をしていた20代の頃。取材先で20年以上の古酒をちぶぐゎーで飲んだ時のおいしさに衝撃を受けたという。それまでウイスキーなどを好んでいたが泡盛の魅力にはまった。01年には泡盛の専門誌「カラカラ」を創刊し、08年に琉球泡盛倶楽部を立ち上げた。現在も同倶楽部で酒造所見学やテイスティングなど定期的に勉強会を開いている。泡盛の本質は古酒にあるという長嶺さん。「世界のブランデーやワインなど年代物のおいしいお酒に匹敵するぐらいのポテンシャルがある」と語る。
長嶺さんによると、古酒をおいしく飲むポイントは空気に触れさせること。酒器に氷なしで古酒を入れ、最低でも10分程度時間を置くとアルコールに溶けている香りが空気に触れて開けてくるという。酒によって香りはさまざまだがバニラやはちみつ、ドライフルーツなど複雑な香りを楽しめるのが魅力という。「ウイスキーやブランデーとは違う口当たりのまろやかさが泡盛の魅力だ。登録を機に、古酒のすばらしさに気づく人が増えるきっかけにつながればいいと思う」と話した。 同店で泡盛を楽しんでいた男性(63)=那覇市=は、古酒のチェイサーに松藤の水割りを飲むほどの泡盛好き。遺産登録を受けて「うれしい。(泡盛は)独特の臭みや甘さが感じられる。これからも変わらず泡盛を飲み続けていく」と泡盛愛を語った。 沖縄旅行に訪れ、琉球王朝の水割りと沖縄料理を堪能していた女性(61)=兵庫県=は「まろやかでとても飲みやすい」と話した。
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