現代サッカーの“過密日程問題”はいつか選手を壊す 若くから酷使される選手たちに不安の視線も「試合数が多すぎるとの声が」
今夏もEURO2024、コパ・アメリカなど選手たちは大忙し
間もなく欧州の2024-25シーズンが本格的にスタートするが、問題となっているのが試合数の多さだ。例えば昨季のチャンピオンズリーグを制したレアル・マドリードは、来年6月から7月にかけてアメリカで開催されるクラブワールドカップ2025を含め、年間に70試合以上をこなす可能性がある。 この現状に『ESPN』は、選手を守り切れないのではと問題視している。イングランド・プレミアリーグのCEOを務めるリチャード・マスターズ氏も懸念を示していて、「転換点を迎えつつある」と語る。 「選手たちから寄せられたフィードバックを見ると、試合数が多すぎるとの声があった。満杯のコップにもっと液体を注げば、溢れてしまうというものだ。それが今起きていることであり、選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるかという問題がある」 来年のクラブワールドカップ2025は新レギュレーションとなっていて、各大陸から合計32チームが参加する。アメリカ・MLSからはシアトル・サウンダーズ、日本からは浦和レッズ、韓国からは蔚山、サウジアラビアからはアル・ヒラル、UAEからはアル・アインが参戦することになり、こうしたクラブにとって欧州勢のレアル・マドリードやマンチェスター・シティ、バイエルン、インテルといったクラブと対戦できるのは貴重な機会だ。 しかし、同メディアはここにも欧州勢との温度差があると指摘している。欧州勢にとってはチャンピオンズリーグこそが最大の舞台であり、クラブワールドカップは余計な負担とも言えるのだ。 今夏にはEURO2024、コパ・アメリカ2024、パリ五輪のビッグイベントがあったが、出場した選手の中にはシーズンの疲労が抜けていないのではと思われる選手もいた。最近は若くから活躍する選手が増えており、そうした選手はキャリアの早い段階から酷使されている。 例えばブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールは24歳を迎えるまでに通算344試合をこなしているが、元ブラジル代表のロナウジーニョは24歳までに162試合しかプレイしていない。 イングランド代表MFジュード・ベリンガムは21歳を迎えるまでに1万8837分間プレイしてきたが、元イングランド代表のデイビッド・ベッカムは21歳までのプレイタイムが3929分となっている。選手の状況によって変わるところもあるが、現代の選手が忙しすぎるのは事実だろう。 選手たちを守らなければ、どこかで問題が起こると同メディアは警告しているが、増えすぎるカップ戦や試合数をどう制限していくべきなのか。ビジネス路線が強まりすぎるのも問題だろう。
構成/ザ・ワールド編集部