<河村勇輝選手>所属するグリズリーズが八村塁選手のレイカーズと対戦 WOWOWでライブ配信 佐々木クリスが見どころを語る
ーー河村選手はアメリカの環境にいち早く順応し、トレーニングキャンプ、プレシーズンを経てチームやファンの心を急速につかみました。バスケットボールの実力もさることながら、そうした文化への順応など人間性のところでもNBAデビューを勝ち取ったように感じます。
佐々木さん その両方があってこそのことですよね。河村選手がチームに合流してトレーニングキャンプに入って、ジャ・モラントとのマッチアップでは自分のディフェンスを見せたりだとか、パス一つでも一味違ったものを見せていくとか。そうしたバスケの実力を示したところと、気持ちのポジティブさの両方で勝ち取ったものじゃないでしょうか。Bリーグや日本代表で大舞台を経験しているからこそ、他のエグジビット10(トレーニングキャンプに参加するための無保証契約)やNBAにチャレンジする若手の選手たちとは全然、違うメンタルバランスでプレーができているのだと思います。
プレシーズンの初戦のダラス・マーベリックス戦で河村選手は、出場してすぐにターンオーバーをしてしまいましたが、これが今年1年でNBAデビューをしないと自分のキャリアがどうなるかわからないみたいなドラフト外の選手だったら、そのターンオーバーを引きずって萎縮しちゃいそうなところが、彼にはまったくそういうところがありませんでした。実際、自分をすごく客観視できる選手だと思うので、公に自分が3年計画で臨んでいると言ったこともすごいですし、今のところ悪いところがないほどです。
ーー河村選手は現状、2ウェイ契約で、今後は当然、本契約を狙っていくことになります。それを実現するために彼が解消していかねばならない課題にはどういったものがあると考えますか。
佐々木さん トム(・ホーバス氏、男子日本代表ヘッドコーチ)さんも言っていた、得点の部分でも河村選手には貪欲にいってほしいです。渡邊選手もメンフィス・ハッスル(グリズリーズ下部のGリーグチーム)の試合で40点取ったんですよね。それでもグリズリーズの本契約はもらえなかった。もちろんその時のチーム状況やプレーするポジションが違いますが、渡邊選手はGリーグでいわば無双状態だった。そこ(NBAとGリーグ)には明確な違いがあるわけで。河村選手がハッスルに行ったら、それこそオリンピックでやったような平均20得点、5リバウンド、7~8アシストといった数字を残さないと説得力が生まれません。過去のNBAでもマグジー・ボーグス(元シャーロット・ホーネッツ等、身長160センチ)や170センチ台の選手たちが活躍したときは、キャリアのピークで平均2桁得点などを3シーズンくらい続けて取っています。バスケットボールが点を取るスポーツである以上、そこは絶対必要なものだと思います。