[名良橋晃]J2ウォッチャー名良橋が横浜FC、いわきFC、水戸3チームの今季を振り返る
いわきFCは選手が育つ 水戸は守備整理で残留果たす
いわきFCは昨季18位から9位へ順位を上げました。残留争いから一桁順位までジャンプアップした功績は高く評価できます。しかも、選手を引き抜かれ、主力が入れ替わったなかこの成績です。2012年クラブ創設でJ2もまだ2年目です。この勢いでいくと、さらなる大躍進も期待できます。 前線の谷村海那、有馬幸太郎が揃って二桁得点し、中盤では山下優人が9アシストしました。生存競争が激しく、次々に選手が出てきます。前述した選手だけでなく、期限付き移籍で加入した大迫塁、西川潤、熊田直紀なども良い経験を積んでいます。 この辺り、補強のうまさを感じます。シーズン前半に躍動した大西悠介がケガをすると、柴田壮介を獲得。照山颯人が長崎に移籍すると、堂鼻起暉を獲得。モチベーターである田村雄三監督のもと、加入した選手がいきいきとプレイする土壌ができています。 田村雄三監督とは現役の最後に湘南で一緒にプレイしましたが、気さくな人柄で「この人のためなら」と周りが動くタイプです。監督更新が発表されており、来季もいわきFCは田村雄三監督で戦います。また選手を引き抜かれ、今季よりも対策されるでしょう。そうしたなか、どうバージョンアップした姿を見せてくれるか楽しみです。 水戸は序盤に苦戦し、シーズン途中にクラブを熟知している森直樹監督、細川淳矢コーチという体制になりました。すると、3バックへのシステム変更などで立て直し、徐々に勝点を積み上げて15位でフィニッシュしました。 4バックの左サイドをできる大崎航詩が左センターバックに起用され、偽CBのようにどんどん攻撃参加。長井一真、新井晴樹などのプレイも目に留まりました。ケガはありましたが、落合陸や寺沼星文は序盤の苦しい時期を必死にプレイしていました。 シーズン後半の水戸は守備を整理したことで負けないチームになっていたと思います。手堅い守備をベースに、キャプテンの草野侑己、途中加入した中島大嘉、大卒2年目の久保征一郎などが少ないチャンスをモノにすることで残留争いから抜け出しました。 アツマーレというクラブハウスが完成するなど、水戸は着実にクラブとして大きくなっています。個人的には鹿島との“茨城ダービー”をいつかJ1で見たいと思っています。 最後に、今季で引退する武田英二郎(横浜FC)、田中謙吾(いわきFC)、本間幸司(水戸)に「お疲れさま」と伝えさせてください。それぞれ、第2の人生で頑張ってほしいです。 ※ザ・ワールド2024年12月号、11月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部