もう友達じゃない…幼なじみに誘われた“仕事”は強盗 すぐ絶交できなかった22歳、捕まって懲役11年 人を殴ったことない21歳も“パチンコ打ち子”に応募…しかし暴行を指示され、男性を殴りながら「かわいそう」
「金が必要で、後のことは考えられなかった」。闇バイト応募者の男性を暴行した男(21)はさいたま地裁の法廷で、自身が闇バイトに関わった状況を振り返った。車内では、指示役が「よその案件やりましたよね」と男性を脅迫した。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による闇バイトが絡む事件が今年相次いだ。指示役に使い捨てられる実行役。犯罪に手を染めた若者たちは法廷や拘置所で、自身の将来まで狂わせられた恐怖と後悔を語った。 恐怖…トイレから引きずり出された男性、殴られ監禁 襲った2人に有罪判決 執行猶予5年が付いた理由
法廷に現れた男は小柄で、海外で調理師をしていた。細腕で人を殴ったことはないという。帰国後、X(旧ツイッター)で応募した「パチンコの打ち子」は「ATMでの見張り」に変わり、提示された高報酬に違和感はあった。当日に暴行を指示され犯罪と気付いたが、身分証を提示しており「自分も同じ状況になる」と引き返せなかった。男性を殴りながら「かわいそう。もうしたくない」と考え、地元に戻り就職活動中、逮捕された。 男は今年8月、共犯者の男(25)と共に、埼玉県さいたま市西区の公園内の仮設トイレに呼び出された30代男性を暴行し、車に監禁。指示役は車内で、男性が別の闇バイトに応募したととがめ、「生きて帰れないかも」と金銭を要求した。さいたま地裁は「闇バイトに手を染めた者に制裁を加え、犯罪組織の維持を図った側面がある」とし、男に執行猶予付き有罪判決を下した。 2022年に埼玉、茨城県で強盗など6件の実行役となり、懲役11年の判決を受けた男(22)を闇バイトに導いたのは幼なじみだった。「グレーゾーンの仕事」と誘われ、断ろうとするたびに「上の人に来ると伝えた」と退路を断たれた。「誰かに相談したら(幼なじみが)捕まる」と考えるほど大事な友人だったが、法廷では「もう二度と関わらない」と宣言。「なんで友達なのに(犯罪に)誘ったんだ。もう、友達じゃない」と失望だけが残った。夢だったお笑い芸人を目指すための専門学校進学も、「こうなった以上、夢は見られない」と諦めた。