もう友達じゃない…幼なじみに誘われた“仕事”は強盗 すぐ絶交できなかった22歳、捕まって懲役11年 人を殴ったことない21歳も“パチンコ打ち子”に応募…しかし暴行を指示され、男性を殴りながら「かわいそう」
一方、詐欺の受け子をして懲役2年4月の判決を受けた男(28)は「後悔も罪悪感も、自分がだまして取った感覚もない」。10年以上続けた建設業に飽き、交流サイト(SNS)で「闇バイト」と検索した。個人情報を渡し「裏切るメリットはなかった」と淡々とした態度だが「組織の上層部は底知れない。接触した指示役も下の方だった」と組織の全容の不気味さを言い表した。 闇バイト応募者を使い犯行を繰り返すトクリュウは、秘匿性の高い通信アプリを通じ身分証などを提示させ、個人情報を掌握。犯行をちゅうちょすると脅迫し、グループから抜けることを困難にする構図がある。県内の事件では、これまでに実行役やリクルーター、資金管理役など男女19人が逮捕された。うち約7割が10~20代の若者で、犯罪を重ね、捜査が及ぶと使い捨てられて報酬を得られなかった実行犯も多い。 応募者の弁護を経験した県内の男性弁護士は「(闇バイトは)ハイリスクノーリターン。社会情勢に応じ厳罰化の傾向がある」と分析。「特に若年層は接する社会が狭く、周りの環境などに流されがちになる。自分の意思で踏みとどまるのは難しいケースが散見される」と指摘する。
警察当局は来年早期にも、捜査員が架空の身分証を使って犯行グループに接触する「仮装身分捜査」を導入する。闇バイト応募者らの一時的な保護など、対策に本腰を入れており、ある県警幹部は「一つの捜査手法にこだわらず、踏み込んだ手法を積極的に検討しなければならない」と力を込めた。 ■闇バイト 交流サイト(SNS)などで「高収入」などをうたって募集し、特殊詐欺から強盗や殺人などの凶悪犯罪に、加担させられるケースが多い。犯罪組織は犯人同士が互いに面識がないことや事件によって関わる人物が頻繁に入れ替わることなどから、警察当局は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」として捜査を強化。県内では8~10月にかけて、関連する凶悪事件が4件発生した。