東芝の株式非公開化から1年 「経営改革の効果も」と池谷副社長 来年度以降は成長戦略も
株式の非公開化から1年が経過した東芝の池谷光司副社長が20日までに産経新聞のインタビューに応じ、「経営改革の効果が感じられる1年だった」と再興への手応えを示した。早期退職の実施や組織体制の見直しなど守りの経営に徹した2024年度から一転、25年度以降は成長戦略に注力する。27年3月期までにエネルギーや防衛などの成長分野に約4千億円を投資し、人員も集中させる方針だ。 ■「稼ぐ力」が付いた 東芝は今年5月、27年3月期まで3年間の中期経営計画「東芝再興計画」を公表。早期退職や配置転換を実施し、11月末までに約3500人の従業員が応募した。25年1月には本社の間接部門の組織数を23から13に減らす。固定費の削減などで、27年3月期に営業利益が売上高に占める割合を示す営業利益率で10%を目指す。 株式非公開化から1年が経過したが、池谷氏は「経営改革で稼ぐ力が付いてきた」と振り返った。不正会計問題の遠因にもなった過大な収益目標を見直して現実的な計画策定と指標管理を徹底したことで、売上高に頼らず自社のコスト努力で利益を出す体質が社内に根付いてきたという。 こうした効果もあり、24年4~9月期連結の営業利益は前年同期比3・2倍となった。池谷氏は「各事業部や社員が工夫を凝らし、利益率を上げてくれた。これを続けることが大事だ」と強調した。固定費の削減効果は「(24年度)下期か25年度以降に出てくる」と述べた。 ■防衛分野は全社で強化 25年度以降の経営について、池谷氏は「成長に必要な設備投資を伸ばす」と語った。エネルギー分野は人工知能(AI)の普及で電力需要が拡大し送変電機器が好調なため、工場を増強する。この分野は既存事業の増強だけでなく、M&A(企業の合併・買収)も視野に入れる。再生可能エネルギーや原子力発電関連も追加投資を検討する。 東芝はレーダーシステムなどの防衛装備品も手がける。池谷氏は「防衛予算の増加が見込まれている。23年度は前年度比で倍以上の受注があった。人材や投資などを集め、全社で強化したい」と意気込んだ。電気自動車(EV)などの電力制御で使われるパワー半導体も約1千億円を投じ、国内外の工場を増強する。 ■ロームとさらなる連携も