元台湾デジタル相、オードリー・タン氏が「違法のようなAirbnbに泊まった」理由
会議に次ぐ会議で時間を奪われているビジネスパーソンは少なくないでしょう。そこで参考になるのが、台湾のデジタル担当大臣にも抜擢された「若き天才」オードリー・タンが構築した、「無駄な会議を開かないメカニズム」です。オードリーが実践した、効率的に話し合いを進めるための施策について解説します。 ※本稿は『オードリー・タン 私はこう思考する』(かんき出版)より一部を抜粋編集したものです。
「大まかな合意」に達するための4つのステップ
2016年、オードリーがデジタル担当大臣として入閣したのち、政府には大きな変化が起きた。それは、無駄な会議を開かないメカニズムができたことだ。昔から職員は会議に多くの時間を奪われてきた。 特に、管理者は毎日大小さまざまな会議に出席する。いかにして効率的に話し合いを進め、参加者に進んで自分の意見を語ってもらうか、つまり「無駄な会議をしない」かは、仕事の進展を左右する重要なカギとなる。 オードリーの会議では、毎回必ず前回の議論に基づいて話し合いを始める。最後は全員が「大まかな合意」に達していれば、すぐに実行に移すことができる。では「大まかな合意」とは何だろうか。それは「満足ではないが、みんなが受け入れられる」という結果を意味する。そこを出発点として次の一歩へと進めば異論は出にくい。 では、「大まかな合意」に達するためにはどのように会議を誘導すればいいのか?オードリーが用いるのは「焦点討論法(ORID)」と呼ばれる手法だ。これは2005年にカナダ文化事業協会(ICAカナダ)が発表した、グループ内のコミュニケーションを強化するための手法だ。 ORIDでは、4つのステップに基づき問いかけを行う。「事実や現況を観察する(Objective)」「感情や反応を語る(Reflective)」「解釈を見つける(Interpretive)」「次の行動を決定する(Decisional)」という段階を踏み、グループを一歩ずつ効果的なコミュニケーションへと導きつつ結論を明確にしていく。 これは特に参加人数の多い会議に適している。人数が多いと意見がばらつき、議論が停滞しやすいが、ORIDによって異なる意見を少しずつ集約し、会議の本筋へと議論を集中させることができる。