リスク顧みず北日本分断図った眞杉匠に帝王・山田裕仁氏も驚き「この選択肢をとるとは」/青森競輪G3・決勝レース回顧
4車勝ち上がりの北日本は結束、関東は別線に
眞杉選手はいかにもデキがよさそうな力強い走りで、その後の二次予選と準決勝でも1着をとって、完全優勝に王手をかけて決勝戦へ。決勝戦は、関東勢が4名で北日本勢も4名というメンバー構成となり、二分戦もあり得るか… と思われましたが、関東は栃木勢と埼玉勢が別線で戦うことを選択しました。これについては眞杉選手が、「三分戦のほうが北日本もやりにくいと思う」とコメントしていましたね。 レースを楽しむ側としても、単調な展開となりやすい二分戦よりも、三分戦のほうが見応えがある。まずは北日本勢ですが、先頭を任されたのは高橋晋也選手(115期=福島・29歳)で、新山選手は番手を回ることに。3番手が守澤太志選手(96期=秋田・39歳)で、4番手を固めるのが永澤剛選手(91期=青森・39歳)という布陣です。この並びですから、当然ながら「二段駆け」を狙ってくるでしょうね。 それを関東がいかに阻むかが、このレースの大きな見どころ。まずは栃木勢ですが、こちらは眞杉選手が先頭で、番手に長島大介選手(96期=栃木・35歳)というコンビ。そして埼玉勢は、森田優弥選手(113期=埼玉・26歳)が先頭で、番手を宿口陽一選手(91期=埼玉・40歳)が回ります。眞杉選手と森田選手はどちらも、タテ脚での勝負だけでなく、ヨコの動きでの勝負もできる。ここも、展開を考える上で大きなポイントとなります。 そして唯一の単騎が、佐々木眞也選手(117期=神奈川・30歳)。うまく立ち回る必要はありますが、デキは上々でタテ脚もありますから、北日本と関東がやり合って前がもつれるような展開になると怖いですよ。初日からの3日間とは違って、最終日は先行選手がよく粘れるコンディションにシフトしていたのも気になるところですね。それでは、決勝戦の回顧に入っていきましょうか。
前受けした北日本、番手は激しい競りに
レース開始を告げる号砲が鳴ると、まずは1番車の新山選手がいい飛び出しをみせて、スタートを取りきりました。これで北日本勢の前受けが決まり、新山選手は高橋選手を先頭に迎え入れます。その直後5番手は森田選手で、単騎の佐々木選手は7番手。そして後方8番手に眞杉選手というのが、初手の並びです。前受けを選んだ北日本勢は、ここから突っ張り先行に持ち込むというのが青写真でしょう。 後方の眞杉選手が動いたのは、青板周回(残り3周)のバックストレッチから。スーッとポジションを上げていき、赤板(残り2周)の前には、新山選手の外併走に。ここで、森田選手は長島選手の後ろに切り替えました。眞杉選手は新山選手の外に並ぶと、先頭誘導員が離れる前からヨコの動きで新山選手を内に押し込み、そのポジションを奪いにかかりました。いわゆる「外競り」ですね。