欧州挑戦10年目、南野拓実は“30歳の壁”にどう挑む? 森保ジャパンで再び存在感高まる節目の決意
「逆風が大好物」の長友と、逆境に抗った吉田。「センターバックとしては一番いい時期」
本田と同じ86年生まれの長友も、セリエAの名門インテルで確固たる居場所を築き上げながら、30歳が迫ってくるとともに、オフシーズンの放出要員として名前が報じられるようになった。リーグ戦出場が16試合に終わった2016-17シーズン後に、当時30歳の長友はこう語っていた。 「何だか皆さんがすごく心配して下さってくれているんですけど、僕自身がまったく自分のことを心配していないんですよ。本当にシンプルなことですけど、クラブに必要とされないのであれば荷物をまとめて出ていきます。自分が必要とされる場所で、輝くための努力をするだけなので」 実際にインテルからトルコのガラタサライ、リーグアンのオリンピック・マルセイユを経て、いま現在は古巣FC東京でプレーする長友は、波瀾万丈に富んだキャリアのなかでこう語ったこともある。 「僕、マジで悩みがないんですよ。人間である以上は悩みを含めた感情がありますけど、処理能力がめちゃ早いと思うんです。それが自分の強みというか、逆境が大好物なんですよね」 88年生まれの吉田も31歳で迎えた2019-20シーズンに、在籍8年目を迎えていたプレミアリーグのサウサンプトンで出場機会が激減。当時の監督に真意を聞いた理由をこう語っていた。 「世代交代に抗うつもりはなかったんですけど、そういう環境下に置かれていたのは確かだったので。監督が若い選手を好んでいるのは事実ですし、自分自身としては体力的にもベテランという感じになっているとは思わない。むしろセンターバックとしては、一番いい時期だと思っているので」 その後の吉田はセリエAのサンプドリア、ブンデスリーガのシャルケと5大リーグでのプレーを続け、いま現在はMLBのLAギャラクシーに所属する。代表で輝かしい実績を残す一方で、所属クラブでは30歳を超えてからは逆風にさらされ、それでも絶対に下を向かずに徹底的に抗った。 前出の香川もラ・リーガ2部のレアル・サラゴサからギリシャのPAOK、ベルギーのシントトロイデンとヨーロッパにこだわり、昨シーズンからは古巣セレッソに復帰。従来のトップ下ではなくボランチやアンカーとして新境地を開き、昨シーズンのJ1リーグ戦で全34試合出場を果たしている。