欧州挑戦10年目、南野拓実は“30歳の壁”にどう挑む? 森保ジャパンで再び存在感高まる節目の決意
香川真司、本田圭佑ら日本代表選手たちも直面した「30代の壁」
競技のジャンルを問わずに、アスリートは30歳という年齢に対して敏感になる。特にサッカー、そのなかでもヨーロッパでプレーする選手は、非情な現実を突きつけられるケースが少なくない。 例えば89年3月生まれの香川真司は、森保ジャパンに復帰した19年3月に30歳になった。ドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントから、出場機会を求めてトルコのベシクタシュへ期限付き移籍していた香川はその年の夏に、ドルトムントとの契約を1年間残しながら退団している。 「やはり30歳になると、ヨーロッパでは特にシビアにとらえられる。年齢のことも含めて、いままでに経験したことのない、いろいろな現実を見せつけられた1年間でした」 年齢の十の位が変わるシーズンに、それまでの実績などいっさい関係無く、問答無用で実質的な構想外に置かれた香川は、ドルトムント側の許可を得た上で自ら新天地探しに着手している。年齢だけで一概に判断された状況に反発心をたぎらせていたと、後になって明かしている。 「そこを受け入れるつもりはないというか、そこを気にして『僕はもうダメなのか』という気持ちになってしまうようでは、ヨーロッパで生き残っていくことはできないので」 香川が繰り返した「そこ」とは、ヨーロッパのサッカー界に存在する「30歳の壁」と言えばいいだろうか。日本代表選手では本田圭佑、長友佑都、そして吉田麻也も目に見えない壁に直面してきた。 86年生まれの本田は、30歳で迎えた2016-17シーズンで、当時所属していたセリエAのACミランでリーグ戦の出場がわずか8試合に終わり、契約満了に伴ってそのまま退団している。 「自分は同じルーティーンがあまり好きじゃない。環境もそうですけど、常に未開の地みたいなところがすごく好きですし、あとは自分の知らないエリアに行くのも好きなので」 ミランの次にプレーする新天地を選ぶ上での基準を尋ねたメディアに対して、強がりにも聞こえる持論を展開した本田は、同時に日本への復帰は考えていないとした理由をこう語っている。 「日本には僕がいなくても頑張っている選手が大勢いる。みんなで頑張れる日本はちょっと窮屈だし、海外の大男たちと喧嘩したい日本人もいるわけです。そこへ刺激を求めていく日本人が何人かはいないといけないというところで、職種にかかわらず僕たちの役割分担があるのかな、と」 言葉通りにメキシコのパチューカ、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーと移籍を繰り返した本田は、現時点でアフリカ大陸を除く5大陸の10クラブでプレー。左膝の手術を受けた影響で2年以上も無所属状態が続いているものの、今年中には復帰を果たすプランを練っている。