「社会の理不尽を容認できず闘ってしまう」 38歳女性の悩み相談に、スピーチライターが贈った言葉
ミニマル思考で行こう
もうひとつ、聞いてほしい話があります。 それは「ミニマル思考」というものです。 「ミニマル」とは、「なんとか十分な量」という意味。「ミニマル思考」とは、論点を最小限に絞る考え方です。ゴールは何か。何を達成すればよいのかを考え抜いて、無駄は一切排除する。多少、小さな矛盾や考え方の違いがあっても実害がないのならスルー。変えられないものは、無理に変えようとしない。 あなたの質問に答えるならば「実害がないなら小さい問題はスルーする」「自分の正義よりも目的達成の確実度と速度を優先する」ということでしょうか。 もっとも、あなたも、この件については随分悩んだ経験があるようですね。 それがうまくいかなかったのは、「放置の罪悪感」や「泣き寝入りの敗北感」といったマイナス思考にとらわれたからではないでしょうか。目的達成のために、多少の問題をスルーすることは、とてもポジティブな行為です。大事な要点を押さえる力「ポイントアップ能力」に長けていると私は考えます。 ミニマルに、なんとか十分な量で戦う術を学びましょう。
「問題意識が強すぎる」というレッテルを剥がそう
最後に、私の好きな作家・開高健さんに教えてもらった言葉を贈ります。 「漂えども、沈まず」 これはパリの市民憲章だそうです。パリは、長い歴史の中で幾度となく他民族に侵略されてきました。しかし、そのたびに他民族の文化をのみ込み、侵略を経てより重厚な、比類のない文化を築いてきました。まさに、「漂えども沈まず」です。 「問題意識が強すぎる」のは、視点を変えれば「人の意見によく耳を傾ける」ということ。でもそれゆえに息苦しい思いをしているのなら、この「漂えども、沈まず」の心持ちを取り入れてみることをおすすめします。 人の意見や感情に流されて、漂っても沈まず。それらを受け入れてなお輝く人にきっとなれます。
ひきたよしあき(スピーチライター、コミュニケーションコンサルタント)