「これがあるから勤務が楽しみ」ZOZO、繁忙期を乗り切る年末年始の工夫 人気の理由は
クリスマスプレゼントや福袋など、年末年始はネット通販の繁忙期です。加えて、年の瀬は人手の確保に苦労する時期でもあります。ファッション通販大手のZOZOTOWNで、年末年始の働き方や、現場を動かすための工夫、思い出などを聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮) 【画像】休憩スペースがお洒落すぎる ここがZOZOの配送拠点
年末商戦の最前線
2024年12月中旬、茨城県つくば市にあるZOZOTOWNの配送拠点「ZOZOBASEつくば1」では、年末年始のセールで購入された衣料品を発送する作業が佳境を迎えていました。 配送作業を行うエリアでは、商品を乗せたカートを押す人が行き交い、ベルトコンベアの上を在庫からピッキングされた商品が絶え間なく流れていきます。 カートに入った状態の商品が続々と梱包作業のラインへと運ばれていきます。 作業をしているスタッフの前には格子状に細かく仕切られた棚があり、それぞれの区画には数字が書かれた樹脂製の板でフタがされていました。 スタッフがカートから取った商品のバーコードを読み取ると、「ピロン」という電子音が鳴り、たくさんあるフタのうち1カ所だけが開き、そこに商品が入れられ、仕分けられていきます。仕分けられた荷物はダンボール箱に梱包され、注文した人に届く仕組みです。 この拠点での作業をとりまとめている関俊彦さんが説明してくれました。 「商品をお客様ごとに迅速かつ正確に仕分ける仕組みです。複数の注文を一つの荷物として発送する場合でも、こうすることでヒューマンエラーを防ぎながら素早く梱包することができるのです。自動化できる部分については年々自動化が進められていますが、人間の目と手が必要になる作業もまだまだ多いです」
人気のバイト先
商品の発送のための作業を行うエリアは、コンクリートの床と高い天井の、いかにも倉庫という雰囲気です。 しかし、不思議と寒さは感じません。 「快適に作業できるよう、施設内は温度管理されています。特に夏場は体を動かす作業者に合わせて冷房を効かせているため、動かずにじっとしていると、少し肌寒く感じるくらいです」と関さん。 記者は学生だった10年ほど前、夏休みに別の通販会社の倉庫で働いたことがありますが、その時は空調設備が十分ではなく、汗だくになりながら働いていた記憶があります。 「作業環境が快適でないと効率も落ちますし、何より『ここで働こう』というモチベーションが下がってしまいますよね」 ZOZOBASEでは休憩スペースの整備にも力を入れているそうです。 配送作業スペースとはがらりと変わって、隣接する休憩スペースは広々としており、暖色系の落ち着いた色合いで統一されています。 イスやテーブルは木製で、暖かみのあるお洒落なデザイン。まるでカフェかレストランのようです。 コンビニや自販機類も設置されているため、外に出ることなく食事や飲み物を購入することができます。 「休憩スペースはアルバイトのみなさんからも評価されているポイントの一つです。他の物流倉庫などでも働いた経験のある方から『次もまたZOZOで働きたい』と言ってもらえるのは嬉しいですね」 「人気のバイト先」となっているZOZOBASEですが、それでも年末年始は人手が不足しがちだそうです。 「年末年始はクリスマスプレゼントや福袋などで発送する商品の数が増えます。一方で休みを取る方が増えて働き手は減るため、一年で最も忙しい季節です」 こうした繁忙期に働いてくれる人のために、ちょっとした「お楽しみ」も用意されているそうです。 総務部の平澤美樹さんによると「飲み物や食べ物などの差し入れに加え、毎年、クリスマスの前後にはプレゼント抽選会が恒例行事になっています。ハズレ無しで、楽しみにしてくれるバイトさんも多いです」とのことです。 抽選会の景品は「参加賞」のお菓子のつかみ取りにはじまり、湯沸かしポットやトースターなどの電化製品、特賞は東京ディズニーリゾートのペアチケットなど豪華な賞品が並ぶそうです。 「他にもお正月に書き初めをやったり、オリジナルデザインの升を配ったりした年もありました。警備員の方から『これがあるから、毎年、年末年始の勤務が楽しみなんだ』と言ってもらえた時は嬉しかったです」と平澤さんは話します。