東海環状道「全線開通」で中京圏経済変貌? 大垣~四日市間「20%短縮」、企業進出は大加速するのか?
大垣~四日市、移動時間22%短縮
東海環状道が全線開通する最大のメリットは、アクセス向上による時間短縮だろう。全線開通によって中京圏内のアクセスが大幅に改善され、人や物の移動時間が短縮される。 例えば、岐阜県西部の大垣市から三重県の最大都市・四日市市までの所要時間を見てみると、現在は約86分かかるところが、全線開通後は 「約67分」(22%減) に短縮される。これは片道での時間なので、往復ではさらに差が大きくなる。 時間短縮の効果は物流コスト削減にもつながる。所要時間が短くなることで、ガソリンの節約や輸送量の増加が見込まれるのだ。 年間あたりの走行時間コストも、現在の約710億円から、全線開通後は約1274億円の削減が期待されている。また、時間短縮による経済圏の拡大や、災害時の対策としての利点も見逃せないポイントだ。
企業進出を後押し
2024年11月現在、東海環状道が開通した岐阜県では、その効果が徐々に現れている。特に工業や企業活動の分野で注目が集まっている。 岐阜県は2022年の工業立地件数で全国3位にランクインしており、もともと高い水準を誇っているが、東海環状道開通エリアでの土地整備が進んだことで企業の進出がさらに加速したといえる。 企業活動が活発化することで、 ・生産性の向上 ・新たな産業の創出 ・人材の流入 といった相乗効果も期待できる。今後、東海環状道の全線開通によって、岐阜県の企業活動はさらに活性化するだろう。
新名神と四日市港で広がる物流拠点
三重県は2024年11月現在、東海環状道の未開通区間が多く、名神や他の主要路線と直接つながっていないため、企業活動は岐阜県と比べて控えめな印象だ。 とはいえ、2026年度には東海環状道が全線開通する予定で、これによる企業進出の本格化が期待されている。三重県は中京圏と関西圏を結ぶ重要な経由地でもあり、すでに開通している三重県区間の新名神と合わせて、物流効率の向上が見込まれている。 また、三重県には日本の国際拠点港湾である四日市港があり、日本列島のほぼ中央に位置しているため、中部、近畿、北陸への海運輸送の拠点としても重要だ。 新名神の開通で四日市港の利便性が大きく向上しており、東海環状道の全線開通によってさらに企業活動の活性化や企業誘致の促進が期待されている。