まひろの結婚で「為時の屋敷」がちょっと豊かに 文学の才育んだ庭 「足るを知る」暮らし 光る君へ「美術」の世界
平安時代、長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」。まひろが父親の藤原為時らと暮らしていたのが京の都の一角にある「為時の屋敷」だ。老朽化して建物には古さを感じられるが、四季折々の花が咲く庭がある。実は和歌や漢詩に精通した為時とまひろにふさわしい、文学者の家らしさがあるデザインだという。 【写真】まひろが鳥を飼っていた鳥かご=第1回より ■くすんだ調度品 白木の美しさが際立つ上級貴族の屋敷と比べ、下級貴族である為時の屋敷は、古びた茶色の木材が使われており、床も低い。畳も使われず、板張りだ。調度品もくすんだ色になっている。 チーフデザイナーのNHK映像デザイン部、山内浩幹さんは「道長ら上級貴族との身分の差を視聴者にわかりやすくするために、あえて貧しい感じの家にしました」と説明する。 デザインにあたって参考にしたのが京都の廬山寺だ。紫式部の邸宅跡として知られている。廬山寺のすぐ近くを鴨川が流れていることをヒントに、為時の屋敷では、鴨川の水を引き入れたという設定で、邸内に池を設けた。水辺には四季折々の草花が咲き、季節の移り変わりが感じられる。 平安時代の貴族の屋敷といえば寝殿造り。為時の屋敷も寝殿造りだが、少し古い時代の建築様式だ。山内さんは「平安京の中ではなく、少し外に位置しています。きちんと整備された貴族の家とは一線を画した雰囲気、取り残された感じを出しました」と話す。 かつては中級貴族だった名残もある。御簾の代わりにすだれを使い、几帳も置かれている。為時の部屋の屋根だけは、上級貴族の屋敷同様に檜皮葺きだ。 ■文学者の家らしさも 為時は、師貞親王(後の花山天皇)の漢文の指南役を務めるなどその才能は周囲からも認められている。山内さんは「文学に関しては他の屋敷と遜色ないように暮らしているという裏設定があります」。 為時の部屋には、書籍や巻物が置いてある。劇中によく登場するまひろの部屋は、もともと為時の屋敷の書庫。第1回で為時が、書庫で、書物を探すシーンが描かれている。 源氏物語は、数多くの植物が登場することで知られるが、為時の屋敷の庭にも、キキョウやツバキ、フジなど四季折々の花が咲く。季節の移り変わり、時間の変化が感じられるような庭を作り上げた。
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