まひろの結婚で「為時の屋敷」がちょっと豊かに 文学の才育んだ庭 「足るを知る」暮らし 光る君へ「美術」の世界
これは、明治の文学者・正岡子規の創作活動から着想したという。山内さんは「病に倒れてからの子規は、病床から自然豊かな庭を見て創作活動をしていました。劇中ではまひろは外に出かけますが、本来平安時代、貴族の女性はほとんど家で過ごしました。そんな中でも作家としてインスピレーションがわくようにしたかったのです」と説明する。
為時の屋敷で、もう1つ重要なイメージとなったのが「鳥かご」だ。
第1回では、幼いまひろは鳥かごの鳥を逃がしてしまったことで、三郎(道長の幼名)と出会う。
山内さんは「大石さんの台本を読んだときに、鳥かごというのは平安時代の女性のメタファー(隠喩)だと思いました。鳥かごから鳥が逃げるというのは象徴的なシーンだと感じました」と明かす。ここから、「小さな家が世界のすべてだったまひろが、源氏物語によって世界に出ていく」ことをイメージしたのだという。
「鳥」は今作における自由の象徴だ。第8回では、まひろの友人である直秀は「都は山に囲まれた鳥かごだ」と貴族の不自由さを語った。
鳥は逃げてしまったが、まひろの鳥かごは、ずっと為時屋敷に飾り続けられている。「逃げた鳥がいつでも帰ってくることができるように、鳥かごの蓋を開けた状態で飾ってあります。見た目をあえて経年劣化もさせて作っています。最後まで大事にセットに飾っておこうと思います」と山内さん。
■経済状況反映
為時の屋敷は初回から終盤まで登場するセットだけに、よく見ると為時一家の経済状況も反映されている。
第1回では、雨漏りがあり、壁が崩れているのがよくわかる。池があるのに床が低いため湿気を感じやすいのか、為時の衣装がカビくさいという描写も。
為時の官職がない時期は、修理もままならなかったが、まひろが宣孝と結婚すると状況が変わる。崩れた壁が修理され、調度品や衣装に変化も。山内さんは「宣孝は、まひろにはいつまでも綺麗でいてほしい。だから結婚後には、美容に使う道具や衣装を中心に、いろんな調度を取り入れたというコンセプトで飾ってます」。結婚後には、鏡や化粧道具、華やかな着物、着物を入れるための唐櫃(脚の付いた物入れ)が増えたのだ。
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