《秋は要注意》便秘、うつ、不眠も…放っておくと怖い“腸乾燥” 食生活でできる対策は?
秋でも「1.5L」の水分補給
最悪の事態を未然に防ぐためには一刻も早く、砂漠化した腸をうるおさなければならない。基本はやはり、適切な水分補給だ。 「成人が1日に必要とする水分は約2.5L。水分は食事からも摂ることができるので、飲み水で摂取するべき量は約1.5Lほど。それだけの水を飲んでも、そのうち90%は小腸で吸収されるため、大腸には届きません。だからこそ、意識的に水を飲むことが大切なのです。 利尿作用が高く脱水を招きやすいカフェインを含むコーヒーや肝臓に負担をかけるアルコールは適さないので、水分補給にはノンカフェインのお茶や水を飲んでください」 次に大切なのは、朝食を欠かさないこと。腸が大きく動く「大ぜん動」がもっとも強く起きるのは起床後。朝、起きてから体に食べ物や水分が入ることで胃・結腸反射が起こり、ぜん動運動が活発化する。 また、食物繊維も欠かせない。なかでも朝食で摂取すべき栄養素は「水溶性食物繊維」。腸内でゲル状になり、老廃物をからめとる働きがある。 「朝食で水溶性食物繊維を摂ることで腸をうるおすことができるほか、体内時計がリセットされて体が『朝だ』と認識し、自律神経を整えることにつながります。加えて、朝食ではたんぱく質も摂取しましょう。セロトニンの材料となるトリプトファンを補い、腸内環境を整えることができます」(大久保さん) 一見、手軽に水分と食物繊維を摂取できそうだが、朝食をグリーンスムージーだけで済ませるのは避けるべきだ。 「コップ1杯のスムージーで摂取できる食物繊維量はそれほど多くなく、たんぱく質不足に陥りやすいうえ、腸を冷やしてしまう。朝食で野菜を摂るには、野菜スープやみそ汁の方がいいでしょう」(松生さん・以下同) 大久保さんは、「理想的な朝食は、豚汁に焼き鮭、サラダ、納豆といった和食」だとアドバイスする。 主食は白米でもいいが、おすすめは小腸の機能をアップさせるグルタミンと、水溶性食物繊維が豊富な「スーパー大麦」を混ぜること。 「小麦は腸内環境を悪化させやすいので、主食にはパンや麺よりも米を選んでほしい。玄米は食物繊維豊富な“腸活食”として知られていますが、実は不溶性食物繊維が多く、水溶性食物繊維が白米より少ないので、腸内環境が乱れている人が食べ続けるとかえって便を硬くし、腸内環境をさらに悪化させる可能性があります。特に朝は消化に時間のかかる不溶性食物繊維はおすすめできません。 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は『2:1』の割合で摂るのがベスト。アボカドやごぼう、納豆、海藻類、きのこ類などのほか、両者がもっとも理想的な割合で含まれている代表格はキウイ。1個で1.4~2.6gもの水溶性食物繊維を摂ることができます」