81歳のバイデン大統領が左派にたたかれ続けるワケ・・・ネタニヤフ首相と犬猿の仲、股裂き状態
バイデンはネタニヤフに自制や一時停戦を繰り返し求めました。でも安全保障問題では米大統領の要請でも容易に受け入れないのがベギン、シャロン以来、イスラエル右派首相の流儀です。戦争が終われば、ネタニヤフはハマスの攻撃を防げなかった責任を問われます。収賄などで起訴された刑事裁判で有罪となり、収監される恐れもあります。 戦争が続けば、戦時内閣の首相を変えるのは簡単ではありません。連立内閣を維持するにはベングビール国家治安相のような極右閣僚を重視せざるをえません。極右入植者は、シャロン首相が2005年に入植地と軍事基地を撤去したガザに再入植する機会をうかがっています。
バイデン政権や欧州連合(EU)、穏健アラブ諸国、日本を含む国際社会は2国家共存案による和平を支持してきました。西岸のパレスチナ自治政府が、ガザの統治を回復してパレスチナが再びひとつになれば、希望も見えてきます。それはパレスチナ国家の独立阻止を政治的使命とするネタニヤフや右派にとって悪夢です。 ネタニヤフは「ガザ戦争後」のプランを語るのを徹底的に避けてきました。窮地に陥ったら時間稼ぎをするのが常套手段。ネタニヤフはトランプ在任中、蜜月関係を売り物にしていました。トランプは退任後、関係が必ずしも良好でなかったことを暴露しました。特にトランプが根拠なく「不正」だと言い続ける2020年大統領選挙後、当選したバイデンにネタニヤフが祝意を伝えたことを子供っぽく根に持ち続けています。それでもネタニヤフは、トランプが次期米大統領になる方が、死中に活を求められるチャンスがあります。ネタニヤフはそれを待ち、粘り抜くつもりでいるようです。
バイデン政権にとっては、過去30年間も和平交渉の妨害で暗黙の共棲関係にあったネタニヤフとハマスが、共倒れしてくれると好都合です。しかしイスラエル右派もハマスも多くの熱烈な支持者に支えられるしぶとい組織。消え去ることはありません。 バイデン政権は「戦後」のガザで、穏健アラブ諸国を中心とする国際部隊が治安維持に当たり、パレスチナ自治政府が民生部門を手始めに、徐々に体制を整え力量を上げていく構想を描いているようです。