ネットカジノ摘発急増、昨年の2・7倍…主流は個人のスマホ利用で国内利用者300万人超えか
千葉県警や兵庫県警も今年、決済代行業者とその客を摘発しており、警察幹部は、「海外だから、暗号資産だから逃げられると考えるのは大間違い」と語る。
対策急務
国立病院機構久里浜医療センター(神奈川)の昨年度の調査では、コロナ禍前より、インターネットでのギャンブルの利用が増えたとの回答は、依存が疑われる人で19・9%に上った。
政府も対策を進める。9月に関係省庁の連絡会議を設置し、依存症対策や賭博行為の阻止に向けた課題の整理を行っている。警察庁はサイトのアクセス数や利用者層などの実態調査を進めており、結果を年度内に取りまとめる予定だ。
カジノ問題に詳しい静岡大の鳥畑与一名誉教授(金融論)は、「ゲーム感覚ででき、賭けのテンポが速いオンラインカジノは依存症を誘発しやすい。海外からは規制の緩い日本市場が狙われており、政府はサイトへの接続を防ぐ『ブロッキング』も含め、対策を急ぐ必要がある」と指摘する。
依存症、闇バイト応募も
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)には、近年「オンラインカジノで借金した息子が、闇バイトに応募した」といった相談が寄せられている。オンラインカジノで負けが込み、特殊詐欺の被害金の「受け子」をしていた若者もいたという。
同会に昨年相談した人のうち、「オンラインカジノもやっている」とした人が犯罪に関与していた割合は約36%で、していない人に比べて約10ポイント高かった。同会の田中紀子代表は、「闇バイトなどの犯罪に手を染める前に、立ち止まって相談してほしい」と話す。
一方、闇バイトで売買される口座が、オンラインカジノの決済に使われている実態もある。愛知県警などが今年摘発した「リバトングループ」の幹部らは、SNSで「毎月3万円が2年間入る決済代行案件」などと募集。カジノ用の口座開設を指示していたという。