車が楽器になって音楽を奏でる? 音楽に関する最新おもしろ技術に注目
2000年代に誕生したVOCALOID(ボーカロイド)をはじめとして、最近ではAIによる作曲が可能になるなど、音楽分野においてもテクノロジーの進化は止まらない。今回は、そんな音楽に関する最新技術に注目していこう。 【写真ギャラリー】 ●誰でも簡単にカラオケ音源を作成できるAI技術 今年8月にキットピークがリリースしたのは、「Prism4music(プリズム・フォー・ミュージック)」というアプリ。AI技術を使って、音楽から楽器を分離することができるツールだ。例えば、楽曲の中から「ボーカルだけを消したい」「逆にボーカルだけを取り出したい」という要望を実現できる。 取り出せるのはボーカルだけではなく、「ドラムだけ」「ベースだけ」など楽器単位で抽出することが可能。また、ドラムなら「バスドラムだけ」「スネアだけ」など細かな指定もできる。カラオケを楽しんだり、楽器の練習をしたいときなどに重宝するだろう。 さらにこのアプリは、音声ファイルのみならず動画ファイルにも対応。CDなどの音源だけでなく、MVなどの動画を使用できるのも大きな特徴と言える。 一風変わった音楽技術として、ドイツの自動車メーカー・メルセデスAMGが今年1月に発表したのは「MBUX SOUND DRIVE」というシステム。車に取り付けられたセンサーが運転時の車の動きを検知し、それを音楽に変換する。つまり、車が楽器となって音楽を奏でるというもの。 「既存の楽曲を選択して聴く」というのが現代の定番だが、「車の動きから生成された音楽が車内に流れる」という新しい発想に驚きを隠せない。近い将来、ドライブの常識となっていくのだろうか。 人生を楽しむ上で欠かすことのできない「音楽」だけに、今後も様々な新技術の開発が予想される。また、それらの技術を活用した新しいスタイルのアーティストが登場する可能性もある。次はどのような音楽サービスが生まれるのか、引き続き注目していきたい。(フリーライター・佐々木剛) ■Profile 佐々木剛 大手メーカーに勤務後、一念発起してウェブメディア業界に転職。その後フリーライターとして独立し、現在に至る。メーカー時代の経験を活かし、テクノロジー、機械、技術系中心に執筆。