「資さんうどん」を買収したすかいらーくHD。“丸亀一強”のうどん市場を変える可能性も
“丸亀製麺一強”のうどん市場に刺激を与えるか
ちなみに、うどん専門店チェーン業界は店舗数・売上と共に、1位と2位の間には開きがあり、2位の吉野家グループのはなまるうどんは、店舗数418店舗、売上334億円、(2024年2月期)だ。 丸亀製麺の方が、出店数は2倍以上、売上は3倍以上と差があり、圧倒的な優位性を確保している。売上実績は1021億円(2023年3月期)→1149億円(2024年3月期)と12.4%増と伸ばしており、過去最高を更新。今期も約100店ペースで改装を予定しており、その勢いはうどん業界を牽引していると言ってもいいだろう。 その丸亀製麺とは進むべき方向性が違うようだが、大資本のすかいらーくの傘下に入り、そのインフラを活用して成長を目指す資さんうどん。うどん市場にどういった影響を与えるかが楽しみであり、市場がもっと刺激的・競争的になることを願いたい。
すかいらーくはDXの推進とM&Aで更なる成長を目指す
すかいらーくは、戦略上の基軸であるDXの推進と人的資本の強化をより徹底し、週末売上を増大させている。人員の適正化で機会損失を防止し、週末売上は店によって異なるが、7%~30%向上している。 セルフレジは約2400店舗に導入が完了し、お客さんの約70%がセルフレジやテーブル決済を使って会計を済ませている。その導入効果として、お客様一組当たりの会計時間が80秒から9秒に減少し、加えて、下げ物指示のテーブル表示により発見速度が10秒短縮できているそうだ。これらの取り組みは今後もさらに強化し、効率化を目指していくようだ。 また、人件費抑制と人手不足解決のため、配膳ロボットの活用も増えてきた。管理が容易で、充電すればフル稼働が可能な配膳ロボット。人と機械をうまく組合せて、最適なオペレーションを確立をして経費抑制に努めている。
すかいらーくの積極的な改革姿勢を今後もお客さんは期待している
グループ総店舗数2964店 、業態ごとに20以上のブランドを傘下に持つすかいらーく。過去には内外部の環境が悪化する中、大胆な改革を実行するため、MBO(経営陣による買収)を実行し非上場化させ、その後、事業再生して再上場させている。 今回、志を同じにできる資さんうどんを傘下に入れ、自社が有する盤石なインフラを活用してさらなる成長を目指すのが狙いだ。 そして、適材適所の業態配置による全体最適化、業態のフルライン戦略で収益機会の増大などで売上拡大、ブランド・ポートフォリオによる経営資源の適切な配分と管理、などを徹底していくようだ。今は外食売上では3位だが、2位のマクドナルドを追い抜く体制の整備中だ。 【中村清志】 飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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