「資さんうどん」を買収したすかいらーくHD。“丸亀一強”のうどん市場を変える可能性も
すかいらーくグループにうどん専門店が仲間入り
10月、すかいらーくは、九州を地盤にした成長著しい「資さんうどん」の全株式を取得し傘下に加える。自社で不足する業態は、自社で一から開発せずM&Aを活用し、時間を節約する経営方針であり、その一環だ。 創業40年で年間売上100億円(23年実績、123億円)以上を達成した資さんうどんの買収金額は240億円とのことだが、事業規模から考えて相当な将来性を見込んでいると言われている。 傘下に収めた際のシナジー効果や活用価値などの期待も大きい。資さんうどんとしては大手資本の傘下に入り、全国展開に向けた準備ができそうだ。 現在は店舗数71店舗(24年8月時点)だが、2割の常連客が延べ客数の8割を占めるといったリピート率の高さが強みの店で、絶対的な顧客基盤を有しているのが魅力の人気店だ。
資さんうどんの良き組織文化を守れるか
私もさっそく資さんうどんに行ってみた。入店するとまず、自動案内→タッチパネルで注文→水は卓上にてセルフサービス→料理提供→会計はセルフレジ、といったよくある一連の流れだ。 だが、料理提供は配膳ロボットではなく店員さんが丁寧な接客で提供してくれるから嬉しい。うどんとミニ丼のセットが人気のようでその組み合わせはバリエーション豊かであり、価格もリーズナブルである。出汁が自慢で麺のもちもち感が店の売りだ。 DX化を推進するチェーン店の中には、会計を済ませて帰る際に店側から何の反応もないところも多い。だが、資さんうどんは、オープンキッチンになっており、お客さんが帰るときは、「ありがとうございました」と気持ちのいいお礼の挨拶があった。 資さんうどんは働く人に重きを置き、能力と意欲の喚起に力を入れている店だそうだ。様々な制度があり、従業員に聞くと「働きがいがある店」と言っていた。 効率性を追求するすかいらーくと効果を重視する資さんうどんとの相性はいかがだろうか。M&Aの最も大変なのは統合作業である。これで約8割は失敗すると言われている。すかいらーくはDX化を積極的に推進し、お客さんの利便性向上とフロア生産性の向上を目指しており、そういった組織文化がある。 資さんうどんの人による「目配り・気配り・心配り」を重視する組織文化がうまく融合できるかを心配する。そこらは傘下に27のブランドを有するすかいらーくは管理統制に慣れているから、余計なお世話かもしれないが。