「訪日客料金」導入広がる可能性、姫路城が検討 観光公害対策に期待も増える日本人客負担
世界遺産である姫路城(兵庫県姫路市)で訪日客向け入場料金の導入検討が明らかになったことで、深刻化するオーバーツーリズム(観光公害)の対策を講じる財源確保に向け、同様の動きが他の観光地でも広がりそうだ。一方、そうした財源確保に向けては、「宿泊税」や「訪問税」といったすべての観光客にかかる新税の導入に向けた検討も進んでおり、訪日客以上に日本人観光客の負担が増すとみられる。 ■「二重価格」を導入する飲食店増加 姫路城は「平成の大修理」を終えた平成27年3月に入場料を現行料金(18歳以上1000円、小中高生300円)に設定。姫路市の清元秀泰市長は16日、同市で開かれた国際会議で、18歳以上の入場料金について「日本人客の4倍程度にすべき」との考えを強調した。来年で大修理から10年を迎えるのを前に、修繕や維持管理費用なども含めた財源確保に向け、今年度に料金改定の作業を進めるという。 円安の恩恵もあり訪日客の旺盛な消費が続く中、東京都内では訪日客と日本人客で料金を分ける「二重価格」を導入する飲食店も増加。対応や接客コストがかかることを理由に、訪日客向け価格を別途割高に設定している。 シンガポールなど一部海外でテーマパークの入場料などで外国人観光客を割高に設定し、地元民を割り引く二重価格を導入している実例もある。姫路城での具体的な検討が進めば、海外での例も参考に、国内の観光地でも同様の動きが広がると予想される。 ■導入相次ぐ観光関連税 一方で、オーバーツーリズム対策の財源確保に向けては、「国内外の観光客から差別なく」徴収する動きが加速している。 特に多くの自治体で導入の検討が進むのが、ホテルや旅館の宿泊客に課される「宿泊税」だ。北海道や宮城県、千葉県などで導入に向けた検討が始まっている。他にも、沖縄県竹富町は町民以外の入域者から徴収する「訪問税」の導入を検討。温泉が観光財源の大分県由布市では、今年10月から一部の温泉施設を利用する際にかかる「入湯税」が150円から250円に値上げされる。 ただ、複数の自治体がこうした独自税を導入すれば、地域によっては「重複課税になる」といった批判的な声もある。