かつてアバルトと二大勢力だった「ジャンニーニ」とは? フィアット「128」チューンドカーは穏やかな高性能で旧車ラリーにもピッタリです【旧車ソムリエ】
ワインディングもきれいに駆け抜ける「スポーツサルーン」
そしてこの「穏やかな高性能」は、シャシーについても変わることはなかった。タイヤサイズは145/80R13という、標準型128と変わらないか細いもの。サスペンションもおそらくは締め上げられていないものと思われながらも、ロードホールディングはとても優れており、軽いロールはあっても路面をきれいにトレースしつつ、常識的な速度域であればつねに弱めのアンダーステアでコーナーを駆け抜けられる。生粋の実用車でありながらも、さすが北部をアルプス山塊に面したトリノ製の128らしいと感心してしまうのだ。 フィアット128は1985年までに350万台以上が生産されたという大ヒット作となったものの、現在の日本ではほとんど知られていない。ましてジャンニーニという、アバルトと比べてしまえばマイナーなチューニングブランドの作品ゆえに、このジャンニーニ128NPというクルマについては、依然として「謎」の部分が多くを占めているのは間違いあるまい。 しかし、今回初めて存分に走らせる機会を得たことによって、フィアット128というクルマが生来持つ資質の高さにジャンニーニによる巧みなチューニングも加算され、いっぱしの「スポーツサルーン」に仕上がっていることがよく分かった。 この安心感と安定感のある走り、あるいはラゲッジスペースを含むスペースユーティリティもあわせて、昨今日本のクラシックカー愛好家の間でも人気が高まっているタイムラリー形式の公道イベントなどにエントリーするにも、非常に好適であるかに思われる。 例えば、同時代のアルファ ロメオ「ジュリア」ベルリーナなどを入手しようと考えているエンスージアストには、もうひとつの選択肢として考えても良い1台では……、などと感じられたのである。
武田公実(TAKEDA Hiromi)
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