「パーマカルチャー」って?自宅でできる「自然と生き物と支え合う豊かな暮らし」[FRaU]
都会のビルの上でも、個人の小さな庭でも、一人ひとりが自然を意識した場所をつくることができたら、緑あふれる心地よいまちが生まれるはずです。自然に寄り添い、共存するための場所づくりに励む、Permaculture Design Lab.をご紹介。
日常にある小さな自然に触れ 自分たちの生活文化を作る
「パーマカルチャー」とは、1970年代、オーストラリアで提唱された持続可能な社会システムをデザインしていく考え方。パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語で、自然と人と生きものが、永続的に豊かに生かしあえる繋がりをデザインすることだ。
「つまりは、自分で食べ物を育て、家族や仲間と収穫し、味わい、残りを土へ還す。自然とともに巡る暮らしを自分たちでつくることでもあります」と話すのは、パーマカルチャーデザイナーの大村淳さん。
すべて実践することが難しくても、家の庭やベランダなどでもできると自宅を使って案内してくれた。
「パーマカルチャーの土地設計は、まず自然がこの場所にどういう振る舞いをしているのかを理解し、観察することから始めていきます。例えば何時ごろ日当たりが良くなるのか、何時に日陰になるのか、どういう風が入り込んでくるのかなど。それが一年を通して四季の変化によってどう変わるのか、雨がたくさん降ったときの水の流れ方や、滞りが起こるのかといったところを一つずつ見ていくんです。ある意味、“自然都合”ということをまず理解した上で、僕たちの暮らしを重ね合わせ、自然とうまく折り合いをつけていくための暮らし方をデザインしていきます」
壁面際に樹木を植栽して、その枝を壁に沿わせて生育する方法「エスパリエ」では、日当たりが確保できれば、狭いスペースでも果樹を育てることが可能。庭で見せてくれたのは横に薄く広がる樹形のレモンの木。
「昔、フランスで戦時中に食糧不足が起こり、城壁という城壁のそばに果樹を植えて、壁にピタッと沿わせてフルーツを栽培したという歴史があるんですけど、支柱があれば、横に広がるように枝を誘引することができます」