『ベルセルク』終了後に描くのは、森先生と三浦先生の物語？

『ベルセルク』42巻と『D.ダイバー』を持つ森恒二先生（マグミクス編集部撮影）

――連載再開後の『ベルセルク』に寄せられた声で、印象的なうれしかった反響の意見などあれば教えていただきたいです。 森　世界中のファンから熱い言葉をいただいたり、見事なファンアートがSNSに載せられたりしているので、三浦君に見せたかったです。三浦君はSNSをやっていなかったので、こんなにも世界中に『ベルセルク』のファンがいるんだ、ということを実感してほしかったです。 　たまに届くお叱りの意見も『ベルセルク』愛があってこそですから、ありがたいです。毎日SNSで『ベルセルク』に関する意見を読まないと、気持ちが奮い立たないくらいなので、SNSをやっていてよかったなと思います。 ――森先生は『創世のタイガ』と『D.ダイバー』の連載も続けられていますが、『ベルセルク』の連載が終わった後の予定をお聞きしてもよろしいでしょうか。「ヤングアニマル」2021年18号で、三浦先生との物語を綴った自伝作品『モリちゃん ケンちゃん』の0話を発表されており、あの続きが気になっている方も多いかと思います。 森　『モリちゃん ケンちゃん』は、三浦君と約束しちゃったんで、やります。周りからも、自分の奥さんからも描いてくれと言われるんです（笑）。 『創世のタイガ』と『D.ダイバー』も、三浦君と約束して続けている作品です。『創世のタイガ』というタイトルも三浦君が考えたんですよ。三浦君とはずっと一緒にいろいろやってきたので、今ここにはいないけれど、もう一緒にいるようなもんだなと思っています。今は本当に三浦君との約束を守るために動いている状態です。 　たぶん『ベルセルク』と『創世のタイガ』が同時期に終わるので、その後に『モリちゃん ケンちゃん』を描こうと思います。僕も含め、『ベルセルク』が終わったらみんな寂しいと思いますしね。 ――『モリちゃん ケンちゃん』はどのような作品になるのでしょうか。 森　三浦建太郎という天才の足跡を描く作品にもなると思います。彼は苦しみ抜くタイプの天才でしたし、僕は三浦君と並びたいという思いで必死でやってきたので、描くことは多いですね。いわゆる「天才と凡才」の話になって、たぶん僕の方に共感してくれる人が多いと思います。あくまで僕が主人公で、三浦君と約束した通り、僕の方をイケメンに描く予定です（笑）。 ――三浦先生とのお話がたくさんあるので、『モリちゃん ケンちゃん』の連載も長くなりそうですね。 森　15歳で出会ったときから「高校編」「大学編」「漫画家編」と続くことになると思います。高校時代の三浦君もとても面白い人物だったんですが、当時は僕の方が色々と問題を起こしていたので、それに付き合わされる三浦君というのが中心になるかもしれません。 ――最後になりますが、『ベルセルク』の完結に向けて、読者の皆さんにメッセージをお願いします。 森　三浦君は本当に『ベルセルク』の最終回を、「ファンのみんなと一緒にゴールしたい」と本当に楽しみにしていたんです。その思いを受け継いだ以上、僕も最終回を楽しんで、三浦君に届けたいですね。 　2022年に連載を再開するときは、いろんな批判を覚悟して、悲壮な気持ちで始めました。三浦君と兄妹のように仲が良かった僕の奥さんとも、泣いて完結させることを誓い合いました。その後、世界中のファンから応援のコメントが届いて、今はもう自分ひとりで走っているような感覚はないですね。もちろん、スタジオ我画のスタッフたちも同じ気持ちです。日本のファンも海外のファンも一緒に、みんなで『ベルセルク』の最終回まで走り切ろうという一体感があります。 　読者の皆さんに言いたいのは、「みんなで一緒にゴールしましょう！」ということです。 ＊　＊　＊ 「ヤングアニマル」で連載が続いている『ベルセルク』本編では、暗殺教団バーキラカの首領シラットがグリフィスら「新生・鷹の団」と戦うことを宣言し、ますます盛り上がりを見せています。本日10月25日発売の「ヤングアニマル」21号では、最新話も掲載されました。三浦先生と森先生、スタジオ我画の皆さん、そして世界中のファンが一体となって迎える最終回を、大きな期待を込めて待ちたいと思います。