インテンショナルの打ち分けはアドレスの向きを変えるだけがいい!? 手先や手首を使わないことがポイントだ【謎キャラコーチ『わきゅう』の気になる話♯70】
一昨年の全米女子アマを制し、23年12月のプロテストで合格した馬場咲希プロを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す。今回は「スウィング軌道」がテーマだ。
O編 前回、道具と計測器の進化がツアー全体のレベルを上げたって話をしてたけど、アマチュアも自分のデータを知ることは大事だよね? 坂詰 そうですね。データがすべてとは言いませんが、自分がどんなスウィングをしているのかを知っておくと、練習のテーマがはっきりしてきますからね。一般の方の場合、トラックマンなどの機器を使える環境は少ないと思いますが、チャンスがあったらぜひチェックしてもらいたいと思います。 O編 もし、計測できるとしたら、どんなところを見るといい? 坂詰 基本は、軌道とフェースの向きですよね。自分の軌道がどうなっているのか。インパクトのフェースの向きがショットによってどのくらい変わるのかを知るだけでも、かなり勉強になると思いますよ。 O編 もう少し具体的に教えてよ。 坂詰 軌道でいえば、ドローのプロなら+1~+3度のインサイドアウト、フェードのプロなら-1~-3度のアウトサイドインで打っています。ですから、考え方としては、自分の軌道がインサイドアウトならドロー系、アウトサイドインならフェード系を持ち球にするといいんじゃないでしょうか。 O編 スライサーの人だと、もっとアウトサイドインがきついよね? 坂詰 はい。-5~-8度は当たり前。-10~-12度という人もいますね。 O編 そういう場合は、軌道を-1 ~-3度に近づける、もしくは、インサイドアウトの軌道に変える練習をすればいいのかな? 坂詰 う~ん。ボクだったら、その軌道のまま、フェースを閉じてインパクトする感覚を身につけてもらいますね。たとえば-5度のアウトサイドインだったら、インパクトでフェースが (ターゲットラインに対して)2~4度程度閉じて(左を向いて)いれば、左に出て右に戻る球になりますから。 O編 軌道は直さないってこと? 坂詰 体に対するクラブの軌道って、ナイスショットをしても、ミスショットをしても、ものすごく意識して変えようとしても、ほとんど変わらないんです。だから、それを直そうと思ったら、かなりの覚悟と時間が必要になるんですよ。なので、ボクはあまり直さないですね。 O編 思い切りインサイドアウトに振っても変わらないの? 坂詰 素振りでは変わりますよ。でも、球を打った瞬間、元の軌道に戻っちゃうんです。ある意味、軌道って誰でも安定しているんですよ。だったら、そこは変えずに、フェースの向きを変えて、球をコントロールしたほうがやさしいと思うんです。 O編 だから、インサイドアウトの人はドロー、アウトサイドインの人はフェードを持ち球にしたほうがいいんだね。 坂詰 ええ。もちろん、スウィング改造をして軌道を修正するのがいけないって言っているわけじゃないですよ。ただ、それなりに時間はかかるし、強い意志と練習量が必要になりますよね。 O編 インテンショナルに球を曲げるときはどう考えればいいの? 坂詰 アマチュアの場合、球を曲げようとすると、手先を使っちゃうんですよねぇ。フックなら手首を返すとか、スライスならフェースターンを抑えるとか。でも、手先を使うと、球が安定しないし、ケガをしやすいので、そういうのはあまりおすすめできないんですよ。やるんだったら、アドレスの向きを変えて対処するのがいいんじゃないですか? O編 アウトサイドインの人がフックを打つときは、フェースを目標に向けてスタンスを右に向ける。インサイドアウトの人がスライスを打つときは、フェースを目標に向けてスタンスを左に向けるって感じ? 坂詰 そういうことです。よく、球筋によってカットに打つとか、いつもよりインに入れるとか言うけれど、体に対する軌道は、意識してもそれほど変わりません。だから、アドレスの向きで軌道をコントロールするほうがいいと思います。 O編 いずれにしても、自分がどういう軌道で打っているのか、ちゃんと知っておくことは大切だね。だから、チャンスを見つけて計測してもらいたいんです。そうしたら、軌道って意識してもあまり変わらないってこともわかってもらえるんじゃないでしょうか。 O編 軌道とフェースの向きが基本って言ってたけど、フェースの向きはどうなの? 坂詰 そこが問題で、フェースの向きって、プロでも毎回同じようには打てないんですよ。 O編 そうなの? 坂詰 これについては、次回詳しくお話しすることにしましょう。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号「ひょっこり わきゅう。第70回」より
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