ブラックロック、プライベートクレジット部門刷新-競合を追い上げへ
(ブルームバーグ): 世界最大の資産運用会社ブラックロックはプライベートクレジット事業を再編する。好況な同市場で競合他社に追い上げを図る。
ブラックロックはグローバル・ダイレクトレンディング部門を新設し、欧州の中堅企業向けプライベートデット事業責任者ステファン・キャロン氏を同部門トップに起用する。プライベートデット事業のグローバル責任者で同社に20年間勤務するジム・キーナン氏は来年退社する。
ブラックロックは10兆6000億ドル(約1490兆円)を運用しているが、活況を呈するプライベートクレジット市場では上位グループに入っておらず、アポロ・グローバル・マネジメントやアレス・マネジメントに後れを取っている。
ブラックロックのポートフォリオマネジメント・グループ責任者リッチ・クシェル氏は16日の文書で、「プライベートクレジットは当社の最優先事項の一つだ」と述べ、「この新体制により、連携と調整を進め、各フランチャイズを支える慎重な投資プロセスを維持しながら、当社の能力を拡大・発展させていく」考えを示した。
クシェル氏は、投資家からの需要の高まりを受けて設立されるダイレクトレンディング(直接融資)部門が「世界的なダイレクトレンディングおよびグロースデットでリーダーを目指す当社の野心を加速させる」と述べた。
ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、プライベートクレジットを「主な成長」の原動力と位置付けている。同社の独自推計によると、ダイレクトレンディングは劇的に拡大する見通し。同社のマクロクレジットリサーチ部門トップのアマンダ・ライナム氏は、世界のプライベートデット市場が2028年までに約2倍の3兆5000億ドルに拡大すると予測している。
ブラックロックがダイレクトレンディング資産で運用する資産は約350億ドルで、同社全体(10兆6000億ドル)の約0.3%相当。プライベートデットでは860億ドルを運用している。一方、6月30日時点でアレスはクレジット資産を3200億ドル強、アポロも同資産で5000億ドル強それぞれ保有している。