沖縄でも見られた〝国連と同じ構図〟 あたかも県民の総意のように報じる地元メディア…左派とは違う意見を示す重要性
【葛城奈海 戦うことは「悪」ですか】 左派の声が、あたかも日本国民の総意であるかのようにとられかねない「国連の構図」を目の当たりにし、既視感を覚えた。今秋、筆者が会長を務める一般社団法人「防人と歩む会」の研修旅行で訪ねた沖縄で目にした、左派の意見をあたかも県民の総意であるかのように報じる地元メディアと重なったのだ。 【写真】沖縄戦で旧日本軍を率いた牛島満司令官 沖縄戦が終結し、現在では「慰霊の日」となっている6月23日、「沖縄タイムス」は1面トップで、「牛島司令官の軍服展示 陸自那覇 旧軍との連続性示す」と報じた。記事内には、「15旅団はHPにも牛島司令官の辞世の句を掲載しており、皇国史観を受け継ぐものと批判されている。市民団体などが相次いで削除を要請しているが、22日時点でも削除はされていない」ともあった。 「日本はこんなに女性差別のひどい国だ」が「自衛隊は今でもこんなにひどい軍国主義だ」に、「国連」が「地元メディア」に置き換わっただけで、いずれも左派が「一見権威のありそうな場」に「御注進」し、その威を借りて後ろ盾とし、「日本国政府」や「自衛隊」に圧力をかける構造はまったく同じではないか。 「沖縄タイムス」から約半月遅れの7月6日、ほぼ同じ内容の記事を「琉球新報」も掲載した。自衛隊には、同趣旨の意見書が複数寄せられたという。 ここで保守側が声を挙げなければ、あたかも沖縄には左派の意見しかないように受け取られかねない。 そこで声を挙げたのが、一般社団法人「日本沖縄政策研究フォーラム」の仲村覚理事長であった。同氏が15旅団に提出した「辞世の句を排除しないよう求める要請書」について、旅団関係者から「1件寄せられた(保守側からの)要請が大変ありがたかった。違う意見があると示せることが重要」と聞き、国連と同様、「カウンター・プロパガンダ」の重要性を強く認識させられた。 そこで、国連からの帰国後、「防人と歩む会」としても以下を要請する文書を提出した。①牛島司令官の辞世の句を削除しないこと、そして軍服展示を継続すること②令和3(2021)年まで行われていた慰霊の日における糸満市摩文仁の平和祈念公園黎明之塔に対する慰霊・顕彰の参拝を継続すること。 国のために戦った、あるいは戦うために備えている防人たちへの敬意と感謝を忘れないために、私たちも世論戦を戦わねばならない。
■葛城奈海(かつらぎ・なみ) 防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。1970年、東京都生まれ。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書・共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)、『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)、『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社)、『日本を守るため、明日から戦えますか?』(ビジネス社)。