【解説】北九州市・中学生2人死傷事件 わずか30秒の犯行…男の行動、動機は?
日テレNEWS NNN
福岡県北九州市のマクドナルドの店舗で、中学生の男女2人が男に刺され、女子生徒が死亡した事件で、男子生徒の刺し傷も致命傷になりかねなかったほど深く、警察は、男に強い殺意があったとみています。元神奈川県警捜査1課長の鳴海達之さんに事件について聞きました。 ◇ 今回の事件で被害にあったのは、中学3年生でともに15歳の中島咲彩さんと男子生徒の2人です。腹部を刺された中島さんは、病院に搬送されましたが死亡が確認され、死因は失血死だったといいます。男子生徒も腰のあたりを刺され、一命はとりとめましたが致命傷になりかねない深い傷だったということです。
事件が起きたのは14日の午後8時25分です。中島さんと男子生徒の2人が、位置関係は分かっていませんが、注文するためにレジに並んでいたところ、犯人の男が入り口から現れました。この男は徘徊(はいかい)もせずに、列の最後尾にいた2人を立て続けに無言で刃物で刺し、逃走したということです。わずか30秒ほどの犯行でした。 現場は、北九州市小倉南区の国道沿いにあるマクドナルドです。周辺は小・中学校や幼稚園などもあるベッドタウンです。 逃げた男は40歳くらいで、身長は170センチくらい。灰色の上着と黒のズボンを着用し、黄色のサンダルのようなものを履いていたといいます。現場から凶器は見つからず、男は北の方向に逃げたとみられています。男子生徒は「全く知らない人に刺された」と話しているということです。
鈴江奈々キャスター 「塾帰りだったという中学生2人が襲われ、女子生徒が亡くなり、男子生徒も致命傷になりかねない深い傷だったということですが、わずか30秒で行われた犯行でした。この事件をどう見ていますか?」 元神奈川県警捜査1課長 鳴海達之さん 「子どもを狙った通り魔的な犯行であろうと考えています。被害者を刺すときに普通は『この野郎』『おまえ、なにやったんだ』などと、動機的なことを言うのですが、無言の場合は通り魔的な犯行が多いんです」 「2人を1回ずつ刺して、30秒くらいで現場を離れることは、犯罪に手を染めたことがない普通の者であれば、なかなかできないと思います。ということは、この犯人は過去に誰かを刺した経験があるのではないかと推定しています」 鈴江キャスター 「事件は夜でも明るい店舗の中で起きました。店には防犯カメラがあることも簡単に想像できます。夜道での犯行よりも捕まりやすい場所だと考えられますが、なぜ店舗の中で犯行に及んだと考えますか?」 元神奈川県警捜査1課長 鳴海達之さん 「被害者2人は塾帰りだったと報道されています。現場周辺で、犯人がなにかしら見ていたのでしょう。当日見ただけではなく、何日かにかけても、そこを通りかかりながらか、あるいは止まってか、子どもたちの動きを見ていたような気がします」 「そして刃物を用意して子どもたちを狙う。犯行現場のマクドナルドに入ったときには、刺そうという衝動を抑えきれず、防犯カメラがあろうがなかろうが、列に並んだ2人を刃物で刺したという状況ではないかと考えています」