シャアが乗らない「百式」が金ピカのままな謎 『ZZ』の素人パイロットには目立って危険なのでは?
百式はなぜ金ピカのまま送られてきた?
こうなった理由は「エゥーゴの都合」だと思われます。エゥーゴの指導者であったクワトロは、表立った連絡をせずに行方不明となったようです。この辺りも含めて、元々、エゥーゴは連邦とジオンの寄せ集めですから、組織はガタガタになっていたのでしょう。実際『ガンダムZZ』において、エゥーゴの戦力の印象は薄く、アーガマ/ネェル・アーガマ単体が、実質的な実働戦力と言えるほどでした。正規パイロットもルーだけです。 そんななか、エゥーゴとしては味方を増やすための宣伝材料として「ガンダム・チーム」を必要としたのでしょうし、「グリプス戦役でクワトロ(シャア)が操縦した金色のMS」の存在は宣伝戦略上必要とされたのでしょう。「シャアがまだエゥーゴにいるような雰囲気の宣伝映像が欲しい」ということです。 実際、「ブライト・ノア」は百式が届いた時に「グラナダ(エゥーゴ)の命令です。やむを得ません」と発言していますし、「これだけガンダムがいれば、絶対に勝てる」と言い張る、エゥーゴ幹部の「メッチャー・ムチャ」からの実質的な命令にも困っている雰囲気でした。 また、ルーは同じ話で「クワトロ・バジーナ大尉が搭乗していた百式よ」とも言っていますから、エゥーゴに宣伝戦の認識があったとも考えられるわけです。こうした状況では、百式の塗り替えなど論外だったのでしょう。 そして、『ガンダムZZ』第37話で、メッチャーは「ニュータイプと言っても所詮子供だ。勝手気ままで我々の命令など聞きはしない」と言って、ジュドーたちを新造戦艦ネェル・アーガマに配属させないようにしようとしています。 メッチャーはジュドーたちを必要としない理由として「(ネオ・ジオンがサイド3を入手したことで)組織を整備する時間ができた。パイロットの訓練もできている」と説明しました。つまり「ジュドーたちは命令を聞かないから、特に政治的な意図が強い作戦には従事させられない」ということでもあるのでしょう。 このエゥーゴの思惑が崩れるのは、戦闘中の事故でブライトが艦を離れたことで、結果的にネェル・アーガマがジュドーたちの指揮下に置かれてしまったことにあります。もしネェル・アーガマがここで正規パイロットに入れ替えられていたなら、露骨な宣伝戦が行われていたのかもしれません(「訓練されたパイロット」がジュドーの代わりに、ハマーンを倒せるのかとも思いますが)。
安藤昌季