年々増加するEVの「電欠」の救世主となるか!? 給電できるバイクの仕組みと課題とは?
増加するEVの「電欠」
ピストンリング、シリンダライナなどの自動車部品に加え、アルミ、ゴムや樹脂など多種多様な事業に取り組むTPR株式会社は、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」で緊急時対応用の給電システムが搭載されたバイクを出展しました。 【画像】TPRが開発中の緊急時対応用の給電システム搭載バイクを画像で見る(10枚)
昨今では、政府が2035年までにガソリン車の新車販売禁止を実現すると発表し、国内メーカーから急速充電10分・航続距離1200kmを可能にする「全固体電池」を搭載したEVの実用化を目指すと発表されるなど、EV市場の割合は増加していく傾向にあると予想されています。 しかし、ロードサービスを全国展開するJAFによると、2020年度、同社が実施したEVのロードサービス件数は5804件で、そのうち573件が「EVの駆動用電池切れ(電欠)」(全体の約10%)、2022年の電欠件数は700件を越え、年々増加傾向にあるといいます。 そうしたことを踏まえ、JAFでは応急的な急速充電が可能なサービスカーの試験運用を開始するなど、新たなサービス創生に向けて動きだしていますが、TPRが開発するシステムは、運用されれば2輪ならではの機動性を活かした迅速な対応が期待される画期的なものです。
クランクシャフトに発電用モーターを接続
TPRが開発するシステムは、エンジンのクランクシャフトに発電用のモーターとクラッチを接続したもので、発電機からコンバータ、商用電源化を行うパワーコンディショナーを介して充電器へ電気を供給。 あたかもクロスオーバーモデルを彷彿とさせる仕上がりとされています。
同車両の開発経緯について、TPRの営業企画部 伊藤 寿哲さんに話を伺ってみました。 ―――給電できるバイクはどのような経緯で開発されたのでしょうか 高速道路で電動自動車が電欠したなどというニュースも耳にしましたので、“バッテリーEVの社会でなにか役に立てないかな“と考えた際にこの車両を開発することにしました。 ベースとなったのは250ccのガソリン車ですので、立ち往生したところにエンジン車で駆けつけて、現地で発電して給電するという仕組みです。 ちなみに、メーカーとの共同開発ではなく、独自開発となっています。