ヨーグルトを食べて体調が悪化…じつは「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」
1 日本人は頑張って筋トレしても“やせ体質”にはならない
無酸素運動は、大きな負荷をかけて瞬間的に力を入れるダンベル体操やスクワット、腕立て伏せなどの運動を繰りかえすトレーニングで、筋肉がつくと基礎代謝量が増えることがわかっています。基礎代謝とは、心も体も安静にしているときに消費する必要最小限のエネルギーのこと。無酸素運動をしっかりおこなうと、その後、約48時間にわたって基礎代謝が高い状態が続くことから、「筋力トレーニングで“やせ体質”になれる!」と言われるようになりました。 しかし、理屈どおりにはいかないものです。問題は、日本人は欧米人と違って簡単に筋肉がつかないことです。 人の筋肉は筋線維という細い線維が集まってできています。この筋線維に赤と白の2種類があると聞いたことはありませんか? 赤い筋線維は「赤筋」または「遅筋」といい、ゆっくりと長い時間にわたって働くことができます。そして白い筋線維は「白筋」または「速筋」と呼ばれ、瞬間的に大きな力を発揮できるのが特徴です。 この赤筋と白筋がはっきりわかるのが、魚です。赤身の魚は筋肉の大部分が赤筋でできていて、その代表がマグロです。マグロはこのおかげで広大な太平洋を回遊しながら成長を続けます。それに対して白身の魚の代表がヒラメ。ふだんは海底でじっと横たわっていますが、獲物となる小魚を見つけると、すばやく追いかけてつかまえます。人間の筋肉は赤筋と白筋がいろいろな割合で混じりあっているので、魚と違って、肉眼で赤か白か見分けることはできません。 赤白どちらの筋線維が多いかは個人差もあるものの、それ以上に大きいのが人種による違いです。たとえば白筋の合成に関連する遺伝子に変異があると、白筋を作りにくくなります。白筋の合成が少ない人はアフリカ系では3~10%しかいませんが、欧米白人は20%、アジア系では30%以上にのぼります。この結果、人種ごとに平均すると、アフリカ系の人が筋肉全体の約70%が白筋であるのに対し、欧米白人は50~60%が白筋、日本人を含む黄色人種は逆に70%が赤筋と言われ、アフリカ系の人がオリンピックの短距離走で活躍するのはこのためと考えられています。 ただし、一口にアフリカと言っても広大で、暮らす人の体質もさまざまです。同じアフリカ系でも、エチオピア、ケニアなどの東アフリカは、白筋ができにくい遺伝子変異を持つ人が40%を占めるというデータがあるそうです。白筋が弱い分、赤筋が発達していることが、東アフリカ勢のマラソンの強さを支えている可能性があります。 この赤筋と白筋の割合はトレーニングによってある程度変化しますが、大きく変わることはありません。鍛えることで太くなるのは大部分が白筋なので、日本人が筋肉をつけようと思ったら、もともと少ない白筋を集中的に鍛えることになります。これは効率が悪いうえに、苦労して筋肉を1kg増やしても基礎代謝量の増加は1日あたりせいぜい20kcal、わずかキャラメル1粒分のカロリーです。これによる体重の減少は年に1~2kgとされています。体力があって、プロなみのトレーニングを続けられる人であっても、筋力トレーニングだけで基礎代謝を十分高めるのは難しいでしょう。 そして、基礎代謝には意外な側面があります。じつは筋肉だけでなく脂肪組織もエネルギーを消費しているので、脂肪がkg減ると基礎代謝量が1日あたり5kcal下がります。つまり、激しいトレーニングを通じて筋肉を1kg増やし、脂肪を2kg減らしたとすると、基礎代謝量の増加は差し引き10kcalになってしまうのです。 これでは話になりません。筋力をつけるのは大切ですが、筋力トレーニングをしても”やせ体質”にはなれないということです。やせたければ、カロリーの総摂取量を減らすとともに、日常生活のなかで体をこまめに動かしてカロリー消費を積み重ねるほうが確実です。