優しいと思っていた夫は「ソフトモラハラ」だった。「私がダメだから。もっと頑張らなきゃ」知らぬ間に、自己肯定感が奪われる【5つの洗脳術】
夫婦問題・モラハラ専門カウンセラーの麻野祐香です。 モラハラと一口に言っても、「ハードモラハラ」と「ソフトモラハラ」があります。 ハードモラハラは、暴言や暴力などの直接的な攻撃で、相手を支配し、精神的・肉体的なダメージを与えます。どんな方でも自分がモラハラを受けているとわかります。 その一方、ソフトモラハラは、一見穏やかに見える言葉や態度で、相手を巧妙にコントロールし、徐々に自尊心を奪っていくので、自分がモラハラ被害者だと気づかずに長年悩む方が多くいます。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている 今回は結婚しても夫がモラハラということに気づかずに、いつの間にか自己肯定感も低くなり、いつも自分が悪いと思い込んでしまったAさんのお話です。
夫の提案やアドバイスは「ソフトモラハラ」だった
『私が夫と出会ったのは、職場の飲み会でした。彼はとても優しく、物腰の柔らかい人で、みんなから頼りにされていました。彼と交際が始まり、彼の細やかな気遣いに感動し、結婚を決めた時も「この人なら、きっと幸せな家庭が築ける」と信じていたのです。』 でも、結婚してしばらくすると、彼の態度が少しずつ変わり始めたそうです。最初は本当に些細なことからでした。 Aさんが夕食の準備に手間取ると、「時間にもう少し気をつけた方がいいんじゃない?」と柔らかい口調で指摘するんだとか。 怒鳴ったり威圧的な態度ではなく、あくまで「提案」や「アドバイス」という形で伝えられたので、Aさんは自分の要領の悪さを反省するだけでした。 でも月日を重ねるにつれ「こうした方がいい」「もっとこうしてくれたら助かる」と言われるようになりました。 Aさんは「夫のために」と思い、頑張っていたのですがいつの間にか「提案」ではなく、「当然」のように感じるようになったのだそうです。 『家が少しでも散らかっていると、「こんな状態じゃリラックスできないよ」「家事ができない妻ってどうなんだろう」と、私を責める言葉が増えていきました。夫の顔色を伺ってばかりでいつもビクビクしている状態でした。』 Aさんの夫は、モラハラでもソフトモラハラのタイプです。ソフトモラハラの特徴である「見えにくい支配」と「相手を正しいと思い込ませる」このテクニックが、Aさんを自己否定のループに追い込んでいったのです。 ソフトモラハラを受けているうちに、自然と自己肯定感がなくなり自分を責めてしまう理由は以下になります。 1. 相手の要求が「当然」と感じるようになる 最初は「提案」だった夫の言葉が、次第に「当然」と感じられるようになり、妻は「できない自分が悪い」と思い込むようになります。 2. 柔らかな言葉での支配 夫はソフトな口調で「こうした方がいい」とアドバイスする形で支配をします。表面上は攻撃的でないため、妻は「自分が至らない」と感じ必死で努力をし自分を責めてしまいます。 3. 自己肯定感の低下 繰り返される小さな否定が妻の自己肯定感を蝕み、「もっと頑張らなければ」と自己否定をし続けることで、自己肯定感が低くなってしまいます。 4. ソフトモラハラの心理的支配 ソフトモラハラは長期間にわたって少しずつ相手をコントロールするため、妻は自分が悪いと完全に思い込むようになり、自己否定のループに陥ってしまうのです。