「僕に憧れる芸人はいない」ザ・マミィ酒井の理想は“負けすぎて愛された競走馬ハルウララ”
仕事に遅刻しても怒られない、先輩に粗相をしても許される特異なポジションを手に入れた芸人、ザ・マミィの酒井貴士さん。 ▶︎すべての写真を見る 前回は、同じ事務所の先輩芸人・岡野陽一さんとの対談で、“好かれる後輩像”を突き止めた。今回は、酒井さんの売れている理由から、クズでも憎まれない愛され力を紐解こう。“負けが勝ち” の真意を探る。
ザ・マミィ酒井が売れてる理由は「報われないから」
編集部 ズバリ、酒井さんが売れてる理由は何だと思いますか? 岡野 う~ん、頑張っても報われないからだと思います。冗談じゃなくて。 酒井 どういう意味ー(笑)? 岡野 漫画の主人公ってダメなところからスタートして、だんだん強く駆け上がって行くじゃないですか。酒井もそんな感じなんだけど、彼の場合はいくら頑張っても報われない。ずっと負け続けてる。だから応援したくなるんじゃないかな。 編集部 応援したい心理が売れてる理由だと。 酒井 思ってた答えと違うなぁ……(笑)。
岡野 愛されたり人気があったりするのと、尊敬されるのはぜんぜん違うんですよ。 編集部 というと? 岡野 酒井の場合は、本当に誰からも尊敬されていない。そこがすごく大事で。 酒井 要は“僕になりたい芸人”っていないんですよ。人力舎の養成所の壁に、在校生たちが「憧れの芸人」を書く紙が貼ってあるんです。100枚以上あるんですけど、それをくまなく見ても、僕の名前を書いてるのは1人もいない。 岡野 東京03さんやアンタッチャブルさんはもちろん、後輩の真空ジェシカもいるんです。でも、酒井に憧れてる芸人はいないんです。 酒井 もともと僕って切り捨てられる人間なんだと思うんですよ……。これでもやっていけるのは、ほかの人に比べてプライドが欠如してるからなのかも。 岡野 酒井の場合は認められたいともがく姿も、報われない姿も、全部がスケスケでわかっちゃうんです。だから、余計にいじりやすいというか、応援しやすいんだと思う。